公益財団法人 北九州市芸術文化振興財団

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埋蔵文化財調査室


平成29年度 市民考古学講座

第4回「古代」を11月30日(木)に行いました。

 平成29年度の第4回市民考古学講座『古代』は、「出土文字資料が語る古代の北九州」と題して実施しました。 発掘調査で出土する遺物の中には、文字が書かれているものがあります。これを「出土文字資料」と呼び、文字が書かれた当時の社会の様子を今に伝える非常に重要な資料です。

 まず初めに、北九州市域から出土した古代の出土文字資料の代表例として、小倉南区長野角屋敷遺跡出土の木簡を紹介しました。この木簡は一部が欠損していましたが、書かれていた内容から企救郡きくぐんの大領であった物部臣今継もののべのおみいまつぐが、仕事をさぼってトラブルをおこした税長の膳臣澄信かしわでのおみすみのぶを役所に呼び出すための召喚状であることがわかりました。澄信はいったいどんな失敗をして、どんな気持ちで呼び出されたのか…。想像するだけでも恐ろしいのですが、きっとすごく怒られたことでしょう。このように、出土文字資料は当時の人々の生活の断片を生き生きと今に伝えてくれるのです。

 次に、出土文字資料の種類や歴史について概観しました。我が国では、弥生時代になって文字資料が出土するようになります。福岡県志賀島出土の「漢委奴国王」かんのわのなのこくおうの金印が有名ですが、その多くは中国大陸からもたらされた青銅鏡などに鋳出されたもので、この時期に倭人が主体的に文字を使用したという明確な痕跡は今のところ認められません。つづく古墳時代になっても資料数は非常に少なく、まだ文字は普及していなかったと考えられます。ただ、埼玉県稲荷山古墳出土の金象嵌きんぞうがん銘鉄剣や熊本県江田船山古墳出土の銀象嵌ぎんぞうがん銘鉄刀のように一族の来歴などを記した資料が散見されるようになることから、一部に文字を使う人々がいたことはわかります。

 古代に入ると出土文字資料の数は爆発的に増加しますが、これは中国の制度を手本にした律令国家の成立と深い関係があります。中央集権的な国家を目指した当時の日本は、全国の人や物を管理する目的から各地に役所を配置しました。役人達はそこで様々な情報を文字を使って記録したのです。このため、この時代の文字資料は役所などの公的な活動に伴うものが主体を占めているのです。

 最後に北九州市内から出土している古代の文字資料を紹介し、その意義について解説しました。北九州市では小倉北区城野、小倉南区の横代、長野、貫地区一帯に濃密な出土文字資料の分布が認められます。その大部分は土器に1〜2文字程度を墨書したものですが、これらの資料によってこの周辺に文字を使う人々が、つまり役所などの公的な施設が存在したことが想定されるのです。北九州市ではいまだ古代の役所は確認されていませんが、出土文字資料がその場所を考えるための大きなヒントとなりそうです。

 出土文字資料は他の遺物に比べて一見地味で目立たない存在ですが、非常に重要な情報を内に秘めています。今回の講座を通して少しでもその魅力を感じ、関心を持って頂ければと思います。

(公財)北九州市芸術文化振興財団 埋蔵文化財調査室
学芸員 中村利至久


※この講座の参加募集はすでに締め切りました。またのご参加お待ちしております。



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