CulCul5月号 2013 page 4/16

CulCul5月号 2013

このページは CulCul5月号 2013 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

4会期・会場平成25 年4月20 日(土)~6月9日(日)北九州市立文学館その後、尾道市立美術館、かごしま近代文学館、新宿歴史博物館を巡回。観覧料大人   500 円、中高生 200 円、小学生 100 円お問合せ北九州市立文学館093(571)1505※月曜日休館 4 月29 日(月)・5 月6 日(月) は開館、翌日休館 芙美子の生涯を紐解いてみましょう。両親に伴われ各地を転々とした幼少時代、東京に出て詩を書く日々、『放浪記』がベストセラーとなり流行作家として歩み出した時期、ヨーロッパへの単身渡航経験、従軍作家として戦争に向き合った時代、そして戦後、心身ともに傷ついた人々を描き続けた日々……。現代のように自立した女性がまだ少なかった昭和初期にあって、彼女は作家として、家庭人として、自分の足でしっかりと立ち、未来への希望を求めて進んでいきました。 ――花のいのちは短くて 苦しきことのみ多かれど 風も吹くなり 雲も光るなり―― 北九州市(門司区)出身の作家林芙美子(1903?1951)の言葉です。北九州市立文学館では、4月20日から6月9日まで、林芙美子の生誕110年にあわせた展覧会を開催します。遺された原稿・草稿、書簡、遺愛品、雑誌・書籍、写真などでその生涯と作品を紹介しつつ、芙美子が生きた大正から昭和の激動期にかけての時代の記憶を新たにし、現代へのメッセージを浮かび上がらせます。が不透明で不安を抱えた人も多いでしょう。そんな時代だからこそ、世代を超えた多くの人達に、芙美子の紡いだ言葉に触れてほしいと願います。いつの時代でも、時代の波に翻弄されながら、それでも生きていかなければならない人間を、強さも弱さも含めて描いている小説に、私たちは共感し感動します。彼女の生き方や作品をとおして、一そよぎの風、そして一条の光を思い起こしてほしい、そのような希望を込めて開催いたします。 芙美子の人生には、確かに孤独や暗い影がありましたが、空高く抜けていく風、雲間に差す光のように、書くことによって現実の苦悩を乗り越えようとしました。また、芙美子は特定のどんなイデオロギーにも染まりませんでした。どのような状況下でも、常に目の前にいる人々に寄り添い、その苦しみや悲しみを描き続けるという、作家としてのスタンスを一貫して持ち続けたといえるでしょう。 亡くなる数日前の芙美子の肉声が残っています。「――私はやっぱり庶民的な作家で終わりたいと思っています。(略)もう自分は現在が晩年だと思っていますからね。いつ死ぬかも分からないしね、だから無駄弾丸は抛ほうりたくない。(略)みんなに共感を持たれるような、そして庶民の人が読んでくれるような、仄ほのぼの々したものを書きたいと思っています。」(1951年6月24日・NHKラジオ「若い女性」) 芙美子はこの四日後、急逝。47歳でした。葬儀には、普段着姿の一般の人々が長い列をつくり、その死を悼みました。 芙美子が生きた時代と比べ、物質的には豊かになったといえます。しかし、東日本大震災の復興の遅れ、原発問題、若者の非正規雇用の増加など、先行き文芸hiroba 小 野   恵北九州市立文学館 学芸員Megumi Ono市制50周年記念 北九州市立文学館第14回特別企画展 「生誕110年 林芙美子展―風も吹くなり 雲も光るなり―」Information自宅書斎にて 1949 年4 月(撮影 林忠彦)自画像「顔」(北九州市立文学館)「風も吹くなり…」詩稿(赤毛のアン記念館・村岡花子文庫蔵)ようこそ文学館へ