CulCul6月号 2013 page 5/16

CulCul6月号 2013

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概要:
北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

5 CulCul 2013.June比されるのは「古典」です。つまり「バロック的である」ということは「古典的ではない」ということです。当時、古典的な美術といえばルネサンス美術のことです。ルネサンス美術が調和と均整を理想として静的であるのに対し、バロック美術は迫真性や装飾性に満ち動的であるというように対比されます。 たとえばルネサンスの代表ミケランジェロとバロックの代表ベルニーニ、それぞれが制作したダビデ像を見比べてみるとその違いが分かりやすいでしょう。 このように美術用語で「バロック的」というと、躍動・壮大・多様・連続・装飾などの意味合いが思い浮かべられるわけですが、バロックという呼び名自体は、初め軽蔑的な意味が含 本号の特集にもある通り、北九州市立美術館本館で6月16日まで「ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア」展が開催されています。ルーベンスは17世紀バロック絵画の巨匠と呼ばれますが、そもそもこの「バロック」という語の意味は何でしょうか? よくある説明としては、16世紀末?18世紀半ばヨーロッパにおける芸術様式を指し、一説には「歪んだ真珠」が語の由来、といった説明が一般的ですが、そう言われてもよく分かりません。 このような場合「バロックとは何か」と単独でつきつめて考えるよりも、他との比較の上で考えた方が分かりやすいかもしれません。 美術用語で「バロック」と対的なバロック美術ということになります。現実には全ての物事をこのように単純にすっぱりと割り切ることはできませんが、美術の歴史を見るときの一つの手がかりとして、古典的なものとバロック的なものとが代わる代わる現れては消えゆく歴史ととらえる見方もあります。 古典主義的な時代には研鑽と判断力が、逆にバロック的な時代には天才と霊感が重んじられる傾向にあるともいえますが、それでは現代の美術により求められているのは一体どちらでしょうか?ミケランジェロ・ブオナローティ《ダビデ像》1504 年、アカデミア美術館(フィレンツェ)ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ《投石器を持つダビデ》1624 年、ボルゲーゼ美術館(ローマ)まれていました。後の時代の印象派や野獣派(フォビスム)などの呼び名と同じく、古典的な様式を重んじる人々からは軽蔑的に見られていたわけです。 いつの時代にも芸術の展開と社会状況とは深い関わりがありますが、バロック芸術の場合は当時のカトリック改革を背景に展開していきました。ちなみに芸術と社会の関わりを考察する興味深い研究として、バロック芸術の特徴と商品経済との共通点を見出す研究もあります。その一方で、カトリックに対抗して生まれたプロテスタントの精神性に現代の資本主義につながる共通点を見出す研究もあります。 話を戻して、古典とバロックの対比をごく単純化していえば、静的な古典美術に対して動美術hiroba 花 田 伸 一北九州アートめぐりキュレーターShinichi Hanada「バロック=歪んだ真珠?」