CulCul 7月号 2013 page 3/16

CulCul 7月号 2013

このページは CulCul 7月号 2013 の電子ブックに掲載されている3ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

3 CulCul 2013.July この春、二ヶ月連続で、小倉城大手門広場に小さな、そしてユニークな演劇空間が出現した。 まずは「野外劇団 楽市楽座」が新作『はだかの王様』(作・演出:長山現/4月26日?29日)をひっさげて登場。 この「楽市楽座」は、家族3人で日本全国を旅して公演を行っている。彼らの舞台には、柱も屋根もない。八角形の、水をはったプール状の舞台の中にもう一つ円形舞台が浮かべられており、それが水の流れとともにくるくると回るという趣向だ。入場料は〝投げ銭?制。入場時に貰える投げ銭用の折り紙に好きな金額を包んでおき、投げたいと思った時にいつでもそれを舞台に投げ入れて良いのである。説明的な舞台装置を一切使わずに、ファンタジックな登場人物と、きらびやかな衣装、ギターやヴァイオリンの生演奏などで、見慣れた風景を一気に違う世界に変えてしまう手腕。流石様々な場所で数多くの公演を行ってきただけの事はある、と感心させられる。 「楽市楽座」の公演の一カ月そういった集客、公演時の舞台設営および撤収、宿泊その他、劇団がその地で公演を成功させるために協力する現地の人の事である。劇団にとっては非常に重要な存在だ。 「楽市楽座」は北九州で演劇、ダンス、音楽など幅広いジャンルでの制作を手掛けている谷瀬未紀氏の「ピカラック」が〝受け入れさん?として動いている。また、「どくんご」は、「ピカラック」を中心に、地元の若手劇団「ブルーエゴナク」や、演劇や音楽のイベントに協力的なカフェや飲食店などで結成された「北九州どくんご遊園」という組織が〝受け入れさん?だ。 現在、日本全国でテント、あるいは野外芝居で旅公演を行っている劇団の数は段々減ってきている。かつては北九州にも多くのテント劇団が定期的に訪れ、〝受け入れさん?の活動も活発だったという。同じ劇団の〝受け入れさん?同士が地域を超えて交流したりもしていたと聞く。 日常生活の中に数日間突如として現れ、そして消える劇空間はひそやかな祝祭のようだ。〝受け入れさん?とは、その祭りを支える氏子のようなものか。彼らのお蔭で上質な作品を見る事ができる。ささやかながら感謝の意を表したい。後、「劇団 どくんご」が『君の名は』(構成・演出:どいの/5月19日・20日)を上演した。こちらは〝犬小屋テント劇場?と呼ばれているテントを建てての公演。テントと言っても、完全に閉じてはいない。芝居中に外側の覆いが開かれ、舞台上から外に向かって劇空間が勢いよく流れだす瞬間もある。具体的なストーリーを排し、ある共通のイメージに沿った、時にサイケデリックかつコミカルな、時にもの悲しい夢のような短いシーンが、息つく間もなく展開されていく。勢いにまかせて遊んでいると見せかけて、その中に落ち着いた、緻密な計算も垣間見える、非常に知的な作風だと思う。 こういった劇団を陰で支えているのが〝受け入れさん?と呼ばれる存在だというのをご存じだろうか。旅公演で一番悩ましいのは集客である。メディアで有名な俳優が出演するなどしていなければ、作品の告知だけでは満足な集客は望めない。また、旅公演の場合、同行するスタッフの数がどうしても限られてくる。〝受け入れさん?とは、演劇hiroba おおつか えみこ演劇の街は、いま大塚恵美子演劇事務所 代表Emiko Otsuka突如として現れる野外演劇空間を影で支える〝受け入れさん?に感謝野外劇団 楽市楽座「はだかの王様」  撮影:谷瀬未紀劇団 どくんご「君の名は」 撮影:高平雅由