CulCul 11月号 2013 page 5/16

CulCul 11月号 2013

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概要:
北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

5 CulCul 2013.Novemberしたチラシの完成度の高さや、作家との対話の内容から判断するに、彼は並々ならぬ美意識の持ち主であることがまさに「痙攣的」に伝わってきます。となると、このグダグダさ加減は作家の意図による確信犯的な「挑発」か、または確固たる「開き直り」だと受け取れます。 私は本展を見て正直「これだったら自分の方が上手く作れそうだ」と思ってしまったのですが、まさにそれこそが本展の意義だと思います。才能ある作家が創造性を発揮して完全なる美を作り出し、それを観客が有難く享受するというお決まりの図式はここでは通用しません。ここで作家が示しているのはデジタル作品を見せるために必要美術hiroba 花 田 伸 一北九州アートめぐりキュレーターShinichi Hanada写真1:会場風景写真2《Cramps》写真3《STAND! ALONE!! 3》写真4《STAND! ALONE!! 4》「中川陽介展STAND! ALONE!!」よりな電力を自ら発電しようという意志と挑戦し続ける過程です。その不完全さや非効率さを見て「デタラメだ!」と怒って帰る人も多いでしょうが、作家の姿勢に共鳴し、その不完全さに却って創造意欲を刺激される人も必ずいるでしょう。 完全無欠な作品も良いですが、観客が思わず「おい!」とツッコミたくなるようなボケまくりの展示もまた、観客の主体性を刺激するという意味で、非常に創造的だと私は思います。 私は本展を見てメディア・アートの第一人者ナム・ジュン・パイクが残した次の言葉を思い出しました。「アーティストは星を指差す存在。指であって星ではない」。が、《CRAMPS》は目に刺さってきそうなトゲトゲしい画像でまさに私をシビレさせます。 一方、ただの材料や道具に見えていたものを改めて見ると、作品名と説明文が貼られてあり、《STAND! ALONE!!》シリーズ5作品それぞれの制作過程や結果が記されています。どうやら作家自らの手作り装置で発電を試みているのですが(写真3、4)、説明文には「上手く回らない」「失敗した」「無理」「困った」等々、頼りない言葉が並び、私は最初、そのグダグダさ加減に本当に面食らいました。一般には発電装置は芸術でなく科学の領域でしょうし、さらに装置としての完成度もデタラメに低い。 しかし、作家が自らデザイン 元銭湯を再利用したアートスペース「八万湯プロジェクト」(八幡東区祇園)にて美術家・中川陽介「STAND! ALONE!!」展が開催されました(2013年8月)。 展示を見ると部屋には材料や道具が転がり、私はまだ作業中で未完成なのかと思ってしまいました(写真1)。その中で作品を探すと部屋の隅にそれらしいものが飾ってあります。デジタル処理された風景写真と映像で、いかにもアートっぽい佇まい(写真2)。この作品名の《CRAMPS》は痙けいれん攣という意味ですが、私は職業柄、美術史上シュルレアリスムの「美は痙攣的」という語を思い出します。日本語で俗にいう「シビレる」という感覚に近いと思います