CulCul 1月号 2014 page 3/16

CulCul 1月号 2014

このページは CulCul 1月号 2014 の電子ブックに掲載されている3ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

3 CulCul 2014.Januaryい、という事があげられるだろう。今年を見ても、15校中12校が生徒または顧問の書きおろし作品で、県内の他地区に比べて明らかに多い。 この傾向も、北九州の〝モノ創り?気質を象徴しているようで興味深いのだが、今年特に興味深く思ったのは、生徒創作の作品の多くが、申し合わせた様に似通ったテーマを扱っていたことだ。 いくつか例をあげてみよう。とある小さな公園を舞台に、町内のお祭りでの舞台デビューを目前にして練習にはげむ大学生の漫才コンビや、無職の青年、美術部の高校生などが登場する、小倉高校の『落書きの中に』。様々なバックグラウンドを持った登場人物が一様に抱える将来への不安と、淡い希望が交差する様を描いた群像劇だ。 戸畑高校の『まっかなかいじゅう』はある日の放課後の写真部のごたごたの物語。〝写真?という自己表現手段を軸に、登場人物の中にひそんだ〝かいじゅう?が大暴れするお話である。 戸畑工業高校の『バカ。』は昭和30年代を彷ほうふつ彿とさせる長屋が舞台。東京の大学に進学するという夢を実現するべくがんばっている受験生と、彼女に思いを寄せている住人がまきおこすドタバタ喜劇。参加校は15校。各校がこの日のために創り上げた作品を上演し、結果、小倉高校、戸畑高校、八幡南高校の3校が11月に行われる県大会へ駒を進める事となった。 北九州地区の特徴として、出版されたり、劇団によって上演されたりした既成の戯曲ではなく、自分たちで書き上げた〝創作?作品を上演する高校が多 演劇は世界を映しだす鏡。そんな事を実感させられる体験をした。 10月25日?27日、八幡市民会館で行われた「福岡県高校演劇北九州地区大会」での事だ。毎年同時期に行われるこの大会は、主催組織の形や名称は若干変わってはいるものの、昭和25年から行われている伝統的行事である。今年度の北九州地区の演劇hiroba おおつか えみこ演劇の街は、いま大塚恵美子演劇事務所 代表Emiko Otsuka小倉高校『落書きの中に』八幡南高校『さあ、約束の場所へ』福岡県高校演劇北九州地区大会 明治学園高校の『きらきら』の登場人物たちも、友人の色覚異常を知った事をきっかけとして、自分たちが好きな〝絵を描くこと?がどういう事であるかを見つめ直す。 顧問との共同創作ではあるが八幡南高校の『さあ、約束の場所へ』は、将来書道家になりたいという夢を親に反対されている高校生が主人公。彼女とその友達がその障害を乗り越えていくさまが詩的かつスピーディーに描かれていく作品だ。 他の生徒創作も、細かな設定や主となる事件は違えど、演劇や写真、絵画、書道など、自分を表現する手段や、自分の進路に不安を感じつつ、その先に希望を見いだしたいという思いが描かれているという部分は共通している。 毎年、自分たちの等身大の思いを描いた「演劇部モノ」「教室モノ」は一定数登場するのだが、ここまで足並みがそろうのは珍しい。高校生たちが、それだけ日常的にゆるやかな不安にさらされているということなのだろうか。 東日本大震災後、〝生と死?に目を向けた作品が多くなった時期があった。その視点が、ゆるやかに高校生たち自身の内面へと移りつつある。そんな意識の変化を感じた3日間だった。