CulCul 3月号 2014 page 3/16

CulCul 3月号 2014

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概要:
北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

3 CulCul 2014.Marchチャー好き傾向が現れている気もするが、それはまた別の機会に分析するとして) 長じてからも「人形」が好きだ。かの偉大な哲学者のデカルトは愛娘の死後、娘と同じフランシーヌという名前を付けた人形を溺愛していたそうだし、詩人の高村光太郎も妻智恵子の亡き後、やはり人形を肌身離さず持っていたという。人形は時に人の気持ちを吸い取る入れ物にもなるし、また、人の気持ちを映す鏡にもなる。 そんな人形の魅力や、人間の想像力の不思議さを存分に味わえる公演が3月7日、戸畑市民会館大ホールで行われる。 人形浄瑠璃『文楽』である。 昼の部と夜の部、それぞれ演目が異なっている。  昼の部は、想い人と添えぬ苦しみのために涙にくれすぎて盲目になり、琴を弾きながら流浪することになった武家の娘の数奇な運命を描いた『生しょううつしあさがお写朝顔話ばなし』。 夜の部は、文楽の演目の中で 私の演劇体験の根っこには「人形遊び」があるように思う。お供は「虹のナナちゃん」だった。特に冬場は、人形と共に炬こたつ燵の中にもぐりこみ、オレンジの光に照らされた別世界の中で延々と一人台詞を喋りながら遊ぶのがお気に入りだった。(王道の「リカちゃん」でないところがもう既にサブカル演劇hiroba おおつか えみこ演劇の街は、いま大塚恵美子演劇事務所 代表Emiko Otsuka『三毛猫ホームズの文楽夜噺』表紙『文楽』チラシ人形浄瑠璃『文楽』も舞踊的な要素が強い『花はなくらべし競四季きのことぶき寿』と、源義経に敗れた木曽義仲の妻子・家臣たちの物語『ひらかな盛衰記』。 「文楽」とは、現在では人形浄瑠璃とイコールであるような表現をされることが多いが、もともとは、江戸時代後期に植うえむら村文ぶんらくけん楽軒が「文楽座」を興し、国内の人形浄瑠璃興業の中心的な位置に立つようになったことから、いつしか、この名前で呼ばれるようになったのだという。ユネスコの無形文化遺産にも登録されている。 見どころは、三さんぎょう業と呼ばれる、太夫、三味線、人形遣いの絶妙なコンビネーションであろう。しかし、特に、身体表現を生業とする私が一番どきどきするのは、人形操作の美しさである。文楽の人形は3人で操作される。「主遣い」は左手で首を、右手で人形の右手を操作。「左遣い」は右手で人形の左手を操り、「足遣い」は両手で人形の両足を操る。3人の呼吸が人形に命を吹き込む。この人形の動きの持つ繊細さや緊張感は生の舞台でないと味わえない。 とはいえ、いきなり古典芸能はちょっと敷居が…と感じられる方にお勧めの書籍がある。推理小説作家の赤川次郎が書いた文楽の入門書だ。赤川次郎は大阪府が文楽に対する助成金を削減すると発表した際に、痛烈な批判発言をするなど、大の文楽ファンとしても知られている。 現在、『三毛猫ホームズの文楽夜噺』『赤川次郎の文楽入門―人形は口ほどにものを言い』の2冊が発行されているが、単なる説明書ではなく、文楽の現場の人と作者との対談なども収録されていて、読み物としても非常に面白い。特に『文楽夜噺』の方には、巻末に短編小説も収められている。「三毛猫ホームズ」ファンの方にも是非一読をおすすめしたい本である。文楽は元々庶民から愛され、庶民から育てられた芸能だ。肩の力を抜いて、一度劇場に足をお運びいただきたい。催事情報を見る