CulCul 3月号 2014 page 7/16

CulCul 3月号 2014

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概要:
北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

7 CulCul 2014.March作業風景青磁双魚文盤埋蔵文化財hiroba 田 村 和 裕遺跡からのメッセージ(公財)北九州市芸術文化振興財団埋蔵文化財調査室 学芸員Kazuhiro Tamura 上ノ原遺跡第2地点は、小倉南区長尾6丁目に所在します。宅地造成に伴い、2012年9月28日?11月16日まで発掘調査を実施しました。調査地は紫川中流域西岸の低ていきゅうりょう丘陵の東側裾部から谷地に立地します。周辺一帯は長おさゆき行遺跡や能のう行ぎょう遺跡など弥生時代から中世にかけての遺跡が集中しており、発掘調査例も多い地域です。上ノ原遺跡第1地点は平成3年に調査され、土ど坑こう2基、小(※1)ピット群を検出し、弥生土器や中近世の陶磁器が出土しました。第1地点から北東およそ140mに位置する第2地点の調査は三つの調査区を設定して行い、調査総面積は1190㎡です。 1区は丘陵裾部の一段高いところに位置し、2基の土坑と多数の柱穴を検出しました。柱穴の組み合わせから掘立柱建物跡を3棟分確認し、これらの柱穴の一部には礎板石が残っていました。 水路で隔てられる2区と3区は谷地にあたり、遺物包含層が深いところで約1m堆積していました。包含層からの遺物出土量はパ(※2)ンケース約120箱分で、その内容は弥生土器、古墳時代の須恵器、土師器、奈良・平安時代の土師器、瓦器、鎌倉?室町時代の中国産白磁や青磁など多岐にわたり、砥石や敲たたき石いしません。なお、2匹の魚を描く双魚文は、夫婦和合の象徴とされています。他には、刀装具あるいは指輪と推定される楕だえん円形の鉄製環が出土しており、環の内側には金銅張りの痕跡が僅かに残っています。 2区で検出した遺構は土坑5基、井戸1基です。井戸は水が湧く場所に木を刳くり抜いた井筒を設置したもので、その周囲には多くの人頭大の石が捨てられたように置かれていました。井戸からは1条の溝が曲線的に伸びて谷地まで続きます。また、最大の土坑の規模はおよそ長径5m、短径4m、深さ80㎝で、穴の中に人頭大の石が多数投げ込まれたような状態で検出しました。遺物包含層から鉄製環や多量の須恵器が出土していることから、これらの石は破壊された古墳の主体部の石材である可能性があります。上うえのはるノ原遺跡第2地点出土の青せいじ磁双そうぎょもんばん魚文盤などの石器もありました。今回、珍しい遺物として紹介したいのが、12世紀末?13世紀中頃の龍りゅうせんようけいせいじ泉窯系青磁双そうぎょ魚文もんばん盤(底部付近のみが出土したので碗の可能性もあり)です。龍泉窯系青磁自体は市内でも比較的多く出土する遺物ですが、これは器の内底に左側を向いた魚が上下に並んで型押しされている点が特徴です。一般的に、双魚文は2匹の魚の頭の向きが互い違いになっているものが多く、同じ方を向いている例はあまりみられ【このコーナーの次回掲載予定は5月号です】※1 小さな穴や細い穴状の遺構※2 約60㎝×40㎝×10㎝の整理用コンテナ情報コーナーを見る