CulCul 4月号 2014 page 4/16

CulCul 4月号 2014

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概要:
北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

4『軍師の境遇』(角川文庫)『高校殺人事件』(光文社文庫)『軍師の境遇』(河出文庫) さて、『軍師の境遇』は高校生向けの作品のためか、主君の姫様との淡い恋のエピソードや、土牢に一年押しこめられ、足に障害の残った官兵衛に秀吉が〈無二の友情のような真心〉で言葉をかける様などが書かれている。〈心の間には、紙ほどのすきまもなかった〉主従二人の信頼関係の温かい描写なども織りこまれています。しかし、秀吉が官兵衛の〈智謀の広さと深さ〉を怖れ警戒するようになって――《軍師・官兵衛》は〈不運な武将〉であったとのラストは、人間観察がみごとです。大河ドラマと併せて、この機会に『軍師の境遇』(角川文庫と河出文庫から文庫本が出版)から読まれてはいかがでしょうか。※ ほかに、55年4月、『世界伝記全集 19徳川家康』(大日本雄弁会講談社)を書き下ろします。竹千代時代のその苦労が、家康の人生修行にどれだけ役だったかしれない。(中略)人間は苦労に負けてはならない。 (「解説」82年記) と、少年少女の読者への教えを物語にこめます。『徳川家康』(「五・六年の学習」)の《作者の言葉》も同じ内容です。おそらく清張自身の小倉時代の苦労、努力・独学の生活に重ねての思いでしょう。同じころ同じ学習雑誌に、清張はその思いをエッセイにも書いています。私を作家にしたものは、経済的に極度に貧しい中で、読書を続けてきた、少年のころの努力である。「読書に目を開く」(努力せよ! 才能の花は開く―私の修行時代)1959年7月「中学コース」 だから、君たちも「努力せよ」と厳しく、やさしさを内にこめて、エールを送っています。また、若いころに〝情熱?を燃やす大切さを、別の文章「独学また独学」(わが十代の〝情熱?1959年7月 「高校コース」)で教えているのです。 最後の「高校殺人事件」は、清張作品として唯一の青春推理小説です。高校生が力を合わせて、仲間を殺した真犯人を探偵する物語です。殺人には戦争の影もさしています。《中高生読書感想文コンクール》の課題図書で、最優秀賞をとった高校二年生は、〈彼らの青春時代は、いつも仲間が顔を寄せ合ってお努力せよ! と厳しく、やさしく 『軍師の境遇』という歴史小説があります。さて、この「軍師」とは誰のことでしょう? そう、現在、好評放映中の大河ドラマの主人公、黒田官兵衛孝高(如水)のことです。次は難しい質問です。『軍師の境遇』が連載された雑誌は何だったでしょう? 答えは、意外や、「高校コース」。松本清張には学習雑誌などに連載した作品群があるのです。『武田信玄』(改題『決戦川中島』)1954年5月?55年3月 「中学コース」『黒田如水』(改題『軍師の境遇』)1956年4月?57年3月 「高校コース」『徳川家康』1956年7月?57年9月 「五・六年の学習」『いたち党』1957年3月14日?9月5日 「朝日新聞ジュニア版」『山中鹿之助』1957年4月?58年3月「中学生の友3年」『赤い月』(改題『高校殺人事件』)1959年11月?60年6月 「高校上級コース」文芸北九州市立松本清張記念館北九州市小倉北区城内2の3093(582)2761【観覧料】 ※( )内は団体料金一般   500円( 400円)年長者利用証提示:400円中・高生 300円( 240円)小学生  200円( 160円)【開館時間】(入館は午後5時30分まで)午前9時30分~午後6時Informationhiroba 中 川 里 志北九州市立松本清張記念館 学芸担当主任Satoshi Nakagawa清張アラカルトり、読んでいても心のぬくもりや強い連帯感を感じた〉としっかりと時代を読み、〈何よりも清張は、高校時代真っただ中の読者達に向けて、〝正義を求めよ?〝心の強さを持て?というメッセージをこの作品に込めたのだろう〉と、目から鱗がおちるような新鮮な感想を書きました。これも文庫(光文社)が出ていますので、この作品から読まれるのも一興、必ずや一味違った清張小説の世界がひらけるものと思います。※ 『軍師の境遇』は記念館主催《中高生読書感想文コンクール》の平成二十六年度課題図書です。面白ければ、お子さんやお孫さんに薦めてください。催事情報を見る