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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

北九州市立美術館 本館 展覧会美味道楽七十年 魯山人の宇宙《織部扇面鉢》陶器 7.0×28.0×25.0《色絵糸巻皿》陶器 2.8×15.5×15.5《九谷風鉢》磁器 11.5×37.52各地から優秀な陶工を呼び寄せ、研究を重ねます。書もそうでしたが、陶芸でも特定の師につくことはなく、代わりに、古い陶磁器を手本に学びました。染付、織部、志野、瀬戸、信楽……、魯山人はそれぞれの器の本質を見極め、その特徴を巧妙に作品に取り入れました。魯山人独特の美的感覚と斬新な着想が融合した器は、写しを超えた唯一無二のものです。 「稀けう有の美食家」であると自負していた魯山人は、その人生を「美味道楽七十年」と言い表しました。食べ物を美味しく、美しく食べる術を知りつくした魯山人の人生は、この言葉通り「美」と「味」の「道」を「楽」しむために費やされ、その最たるものが作陶であったといえます。器がなければ料理を饗することができません。最高の料理に見合う最高の器を必要とするがゆえに、古陶磁に学んだ美し多くの文化人たちとの交友から、美的感覚はますます磨かれていきました。 19年、魯山人は中村竹四郎と共同で骨董品店を開業します。いつからか常連客らに振舞うようになった手料理が評判を呼び、「美食倶楽部」が発足、それが高じて23年には会員制の高級料亭「星ほしがおか岡茶さりょう寮」の開設に至ります。魯山人は顧問兼料理長として、料理はもちろんのこと、食器の調達や室内外の演出、従業員の教育にまで、※3辣らつ腕わんを振るいました。そして、星岡茶寮で提供する食器を作るために、26年、北鎌倉に星せいこうよう岡窯を開いて自ら作陶を始めたのです。 人が自身をより美しく見せるために服を選ぶように、料理をより美味しく感じさせるために食器を選ぶことが肝要と考え、「食器は料理の着物」と例えて、魯山人は料理と食器の調和を目指しました。そのために、 書、※1篆てん刻こく、料理研究、絵画、陶芸、漆芸など、幅広い分野で活躍した北きた大おお路じ魯ろ山さん人じんは、1883年、京都に生まれました(本名は房次郎)。間もなく里子に出され、養家を転々とする厳しく寂しい幼少期をすごします。そのなかにあって、魯山人は、2番目の養母に背負われて見た満開の山躑つつじ躅の赤に「美」を感じ、3番目の養家では幼いながらも炊事を担い「食」に工夫を凝らし、「美」と「食」に対する鋭い感覚を養っていきました。 多彩な顔を持つ魯山人ですが、1904年、日本美術展覧会の書の部に出品した※2隷れい書しょ「千字文」が一等賞二席を受賞し、まずは書家として出発します。その才能は書にとどまらず、篆刻、看板などへ創作の場を広げるとともに、たゆまぬ探究心と13 北九州市立美術館 本館学芸員 山 下 理 恵Rie Yamashitaい器を自らの手で作り続けたのです。 本展では、笠間日動美術館のコレクションから約90点の魯山人作品を展示します。なかでも、魯山人と親交の深かったアメリカのジャーナリスト、シドニー・カドーゾ氏のコレクションをもとに、サンディエゴ在住のモーリス河島氏が収集した32点のカワシマ・コレクションは、ほとんど未使用で秘蔵されていたもので、晩年の魯山人の造形に対する情熱をつぶさに感じることができる名品群です。特定の様式にとらわれることなく独特の美意識に貫かれた魯山人の芸術世界をご堪能ください。【会場】北九州市立美術館 本館 093(882)7777【会期】5月3日(土)~6月29日(日)月曜日休館(ただし5月5日は開館し、5月7日休館)【開館時間】午前9時30分~午後5時30分(入館は午後5時まで)【観覧料】 ( )内は前売りおよび20名以上の団体料金。一般1000円(800円)、高大生600円(400円)、小中生400円(300円)Information◎記念講演会【日時】5月3日(土)午後2時~(開場同1時)【会場】北九州市立美術館 本館B1F講堂【講師】北大路泰嗣(陶芸家)【定員】100名 ※申込不要、聴講無料◎学芸員によるスライドトーク(本展についての解説)【日時】5月31日(土)午後2時~(開場同1時)【会場】北九州市立美術館 本館B1F講堂【定員】80名 ※申込不要、聴講無料◎美術ボランティアと一緒に鑑賞しよう!【日時】5月3日、31日をのぞく毎週土曜日いずれも午後1時30分~同3時30分※申込不要、参加無料、ただし本展観覧料が必要です。Event※1 石・木などの印材に字を刻すること ※2 漢字の古書体の一。篆てんしよ書を省略して簡便にしたもの。今日の楷書に近い※3 物事を躊ちゅうちょ躇することなく的確に処理する能力のあること(注は編集部にて作成)※掲載作品はすべて笠間日動美術館蔵催事情報を見る