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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

5 CulCul 2014.May美術hiroba 花 田 伸 一北九州アートめぐりキュレーターShinichi Hanada抽象画をどうやって見る?―森山安英展「第一章 レンズの彼岸」に寄せて「共星の里」(朝倉市黒川)生初期の受精卵、大海の底深く潜む原始の微生物などを連想させるイメージもある」(2002年1月25日読売新聞夕刊) 「海を連想させる銀色の穏やかな画面だが、いつでも再び〝嵐?を巻き起こす不敵さを秘めているようにも見える」(2004年5月21日毎日新聞夕刊)などなど、作品への着眼点も様々ですし、同じ着眼点でも異なる言葉で語られます。 作品の鑑賞といえば、作者の意図や作品の意味を正しく汲み取るのが「正しい鑑賞」だと思われがちですが、実際には作者の意図や作品の意味に正解などありません。ここで例を紹介した通り、人によって鑑賞の仕方が異なるのが自然です。鑑賞と強かった」(2005年4月22日毎日新聞) 次に見え方に注目する例。 「絵の具の物質性だけでできた絵画で、形も色もなく、ひたすらに視線をはね返す」(1993年9月10日毎日新聞夕刊) 「銀色は光の当たり方によって、ネガとポジが反転する」(2005年4月22日毎日新聞) そして詩的な想像を膨らませる例。 「見る者を意識以前の薄明の世界にいざなうような、始源のざわめきに満たされた銀色の空間。誕生したばかりの天体や発 先月号で名前を挙げた県内のアーティスト・ラン・スペース(美術家達が自ら運営するスペース)の一つ「共星の里」(朝倉市黒川)で北九州市在住の美術家、森山安英氏の個展「第一章 レンズの彼岸」が開催されました(2013年10月2日?12月1日)。1988年から90年代にかけて制作された銀色の絵画シリーズが展示されました。 画面には人物や花や風景などの具体的な形は描かれていません。銀色の画面に突起がついていたり、やや波打っていたり、蛍光色が垣間見えたりしているだけです。抽象画を見慣れていない人には「???」な作品でしょう。 では、これらの作品から受ける印象や感覚は一体どのような言葉で言い表せるのでしょうか。新聞の論評からいくつか例を見てみましょう。 まずは作り方に注目する例。 「絵筆代わりに重力を活用する手際は自在さを増している」(2002年1月25日読売新聞夕刊) 「掛け流しの技法は作品の出来栄えを偶然性に委ねる側面がは作品制作とはまた別の「もう一つの創造行為」であり、創造の仕方に正解が無いのと同じように鑑賞の仕方にも正解はありません。 「そう言われても自分は何も感じないし、どこを見ていいか分からない」という人は、積極的に他人の感想を聞いたり、評を読んだりすると良いでしょう。すると自分の引出しが少しずつ増えて、自分なりの感じ方や感想も自然と生まれるようになります。 ただし作者や他人の感想に耳を傾けるのは「答合せ」のためではなく、あくまで「参考」のためです。それらに振り回されず、自分にはどう見えるか、どう感じられるかを素直に聞き取ることが最も大事なことです。