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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

5 CulCul 2014.June美術hiroba 花 田 伸 一北九州アートめぐりキュレーターShinichi Hanada戦争と芸術をめぐる雑感―「特集 浜田知ち明めい ―戦争とその表象」展に寄せて浜田知明《初年兵哀歌(歩哨)》1954年浜田知明《風景》1995年浜田知明《芋虫の兵隊(A)》1992-95年のモデルは零戦の設計者でしたが、戦争の悲劇は映画の中でごく一部、暗示的に描かれるだけで、むしろ全編を貫いて描かれるのは、夢に向かって突き進む主人公のひたむきな姿でした。主人公を突き動かすのは優れた飛行機やかれんな女性など、美への純粋な憧れのみであり、起こりうる将来に悩み苦しむ姿はそこにはありませんでした。 以上わずかな例ですが、戦争と芸術はしばしば密接な関わりを示します。戦争には理屈を超えて人々を駆り立てる力が備わっていますが、それが美を伴って語られる場合、つまり美化される場合、その力は魔力となります。私たちは、美がときに含み持つ罪深さを肝に銘じ、※2 美び 醜しゅうと善悪とを区別して考えなければなりません。言文では「戦は唯一なる世界の衛生法なり」とうたわれ、破壊や暴力がたたえられました。それは旧来の価値観を打ち壊し、祖国の近代化をより推進しようとの※1言こと挙あ げでもありました。 また、新渡戸稲造『武士道』には平和を愛した19世紀英国の美術評論家ジョン・ラスキンの言葉が引用されています。ラスキンは「戦争はあらゆる技術の基礎であると私の言う時、それは同時に人間のあらゆる高き徳と能力の基礎でもあることを意味している」と述べ、続けて「この発見は私にとりて頗すこぶる奇異であり、かつ頗る怖ろしいのであるが、しかしそれがまったく否定し難き事実である」と語りました。 過去のヨーロッパの例だけでなく身近な例として、昨年公開された宮崎駿監督の映画『風立ちぬ』を挙げましょう。主人公 北九州市立美術館本館のコレクション展示室では現在「特集浜田知明 ―戦争とその表象―」が開催されています(7月6日(日)まで)。浜田知明(1917年生、熊本在住)は自身の戦争体験をもとにした作品群でよく知られており、今回の展示では代表作《初年兵哀歌》シリーズをはじめ、版画42点、彫刻11点を見ることができます。 さて、戦争と芸術というテーマの場合、一般には戦争の悲惨さや非人間性を訴える作品を思い浮かべるかもしれません。一方、戦争には人々の心を捉えて離さない、ある力が備わっていること、そしてそこにはしばしば美が寄り添っていることに、私たちはもっと冷静に向き合うべきでしょう。 例えば20世紀初頭、ファシズムが台頭しつつあるイタリアで起こった美術運動、未来派の宣※1 とりたてて言葉に出して言いたてること※2 美しいこととみにくいこと※詳細は、9ページの北九州市立美術館本館の欄をご確認下さい。催事情報を見る