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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

3 CulCul 2014.July演劇hiroba おおつか えみこ演劇の街は、いま大塚恵美子演劇事務所 代表Emiko Otsuka『守祭2014』チラシ「劇団どくんご」『OUF!』チラシ良き観客となって      作品を楽しむ 映画『アナと雪の女王』が『トイ・ストーリー3』を押さえて、全世界興業収入歴代アニメーションのナンバーワンとなったそうだ。それと同時に話題になったのが「みんなで歌おう!」上映だ。アメリカでは「シング・アロング」と呼ばれるスタイルで、観客が上映中に劇中歌を登場人物と一緒に歌うというもの。ゴールデンウィークを中心に日本全国90館ほどで実施された。 インターネットでは、「楽しかった」「観客が一つになって感動した」という感想が見られる一方、「歌うつもりで行ったのに、いざとなると誰も歌わず、とても歌う雰囲気ではなかった」という体験談もある。上映前に「歌っていいですよ」というプレゼンと歌の練習を実施した館もあるらしく、 〝空気を読む?日本の観客にはハードルの高い企画であったような印象だ。 観客が作品中に声を出して参加する、というと、歌舞伎で「成田屋!」「待ってました!」などと声を掛ける、いわゆる「大向こう」を思い出すが、これには暗黙のルールが存在するので、誰でもできるわけではないらしい。概して、日本の観客はお行儀が良いと言われている。お行儀が良すぎて、笑っていい場面でも空気が動かない事がある、と海外の演出家が嘆いているのを聞いたこともある。 しかし、そのお行儀の良さは、観劇態度そのものが良い、と言う事にはつながらないようだ。 最近よく見かけるのは、上演中に携帯電話を取り出してチェックする人。さすがにサイレントモードにはしているが、客席の暗闇の中ではかなり目立つし、注意力をそがれる迷惑行為だ。また、上演中にスーパーのレジ袋をがさがさと探って飴を取り出し、「飲食禁止は知ってるけど飴ならいいでしょう」と言わんばかりに頬張る人も目にする。また、その場で起こっている事を他の人と共有しないと不安なのか、上演中ずっと感想を隣同士でささやきあう人にも、いまだに、かなりの率で遭遇する。 5月は劇団の公演ラッシュだった。小倉城では、旅する野外劇団「楽市楽座」が『虹をわたって』(作・演出:長山現/5月9日?12日)を上演。また、その一週間後には同じ場所に「劇団どくんご」が仮設のテント小屋を建て、新作『OウフUF!』(作・根本コースケ/構成・演出:どいの/5月18日・19日)を上演した。 地元劇団では、「ブルーエゴナク」が『交互に光る動物』(作・演出:穴迫信一/5月7日?11日/枝光本町商店街アイアンシアター)。「有門正太郎プレゼンツ」が『とんちんかんちん』(作:永山智行・田坂哲郎・有門正太郎/演出:有門正太郎/5月9日?11日/北九州芸術劇場小劇場)を上演。月末には、行橋市の「演劇関係いすと校舎」所有の「自宅劇場」にて『守もり祭さい2014』が行われ、「ワンチャンあるで!」「LAYOUT」など、北九州市内で活躍する俳優によって構成されたユニットが参加した。 これらの作品はどれも小さな劇場での上演だ。観客が肩寄せ合った状態で着席する場合も多く、そんな時に、前述したような迷惑行為を行う人の傍に座ると、芝居を楽しむどころではない。もう最悪だ。観客は演劇を構成する重要な要素の一つ。作品の一部だ。その自覚を持った観客が増えてこその「演劇の街」ではないかと思う。私自身も良き観客として客席に存在できるように自戒を込めて。