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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

4林芙美子ヨーロッパから帰国後転居した、下落合の和洋式の洋館にて(昭和7年頃)仙」などの短編小説も、多くの読者の支持を得て高い評価を受けています。 芙美子は庶民の中から生み出された作家として、生涯庶民に寄り添って書き続けました。芙美子が恵まれない状況から筆一本で作家として大成したように、この地から新しい才能が羽ばたくことを願っての新しい文学賞です。○林芙美子文学の原点 ここで、林芙美子の幼少時代をご紹介しましょう。芙美子の生誕地については、1903(明治36)年12月31日、門司市小森江(現・北九州市門司区)で生まれたという説が有力です。1歳のとき、実父の宮田麻太郎が質物を扱う「軍人屋」を対岸の下関に構え成功、やがて若松に本店を移します。若松では、「軍人屋」のお嬢さんとして比較的裕福な暮らしをしていたといわれています。 ところが芙美子6歳のとき、父母の事情で、母キクが芙美子を連れ「軍人屋」の店員、沢井喜三郎と共に家を出てしまいます。長崎、佐世保を経て、下関では沢井が古着屋を構え、小学校1?5年生の途中まで安定した生活を過ごします。ところが、14(大正3)年に店が倒産、一時鹿児島の祖母に預けられますが、その後16年春、尾道に転居するまでの足跡は明らかではありません。おそらく、「九州炭坑街放浪記」(『改造』昭和4年・10月)で描かれる筑豊の炭坑街を行商する様子は、その頃の生活をつづったものと思われます。直方の木き賃ちん宿やどで※3の生活、炭坑街の坑夫たちとの出会い、遠賀川を渡り行商に出向く場面などが鮮やかに描き出されています。九州での幼少期の経験は、社会の底辺に生きる人々に寄り添って描き続けた作家・林芙美子の原点ともいえるでしょう。 時代やジャンルの違いこそあれ、「文学」は人間や世界を言葉で表現し続けてきました。現代は、インターネットや携帯電話の普及などで情報が便利に手に入るようになりましたが、一方で、自分の頭で考え言葉を生み出すという作業がおろそかになっています。ステレオタイプ化された言葉ではなく、個々人の内面から生まれる言葉で紡ぎ出された「文学」の世界は、今を生きる私たちに根源的な知恵や力を与えてくれるはずです。 選考委員は、井上荒野、角田光代、川上未映子の各氏。作家を志す方にとって、日本文学界の第一線で活躍されているお三方からの評価は大きな励みになるでしょう。未来の文学界を担「林芙美子文学賞」を創設~北九州から新しい文学の息吹を○新たな文学賞「林芙美子文学賞」 北九州市は今年度、北九州ゆかりの作家・林芙美子にちなみ「林芙美子文学賞」を創設しました。平成2年度から昨年度まで24回にわたり開催していた「北九州市自分史文学賞」を発展・継承させた賞で、短編作品を対象としています。新人作家の発掘と北九州の豊ほう穣じょうな文学風土の全国発信を目指します。 林芙美子といえば、デビュー作『放浪記』や晩年の傑作『浮雲』、『めし』などの長編小説を思い浮かべる方が多いでしょう。一方で、初期の「風ふう琴きんと※1魚の町」、「清せい貧ひんの※2書」の他、戦後に書かれた「晩菊」、「骨」、「水林芙美子文学賞作品募集【募集作品】(1) オリジナル未発表作品(2) テーマ及びジャンルは不問(3) 400字詰め原稿用紙50枚以内、日本語で書かれたもの。ワープロ原稿の場合は、A4サイズの白紙に1ページ40字×30行で出力し、原稿用紙換算枚数を明記。【応募資格】年齢・性別・職業・国籍などは問いません【応募期間】2014年8月1日(金)~9月30日(火)募集要項同封の応募用紙に必要事項を記載の上、作品と同封。【募集要項】市内各施設、区役所などで配布。文学館のウェブサイトからもダウンロードできます。【選考委員】直木賞作家の井上荒野、角田光代芥川賞作家の川上未映子(敬称略)【賞】大賞1編/賞金100万円及び『婦人公論』への作品掲載【発表】2015年1月下旬頃【協力】株式会社 中央公論新社【お問合せ】北九州市立文学館北九州市小倉北区城内4-1TEL 093(571)1505Information文芸hiroba 小 野   恵北九州市立文学館 学芸員Megumi Onoようこそ文学館へう新たな才能が見いだされ、北九州から新しい文学の息吹が生まれることを願ってやみません。皆さまのご応募をお待ちしております。※1 ここではアコーディオンの意※2 私欲を捨て、正しい行いのため、生活が質素であること※3 旅人に自炊させ、その薪代を宿賃として泊めさせる宿。