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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

3 CulCul 2014.September演劇hiroba おおつか えみこ演劇の街は、いま大塚恵美子演劇事務所 代表Emiko Otsuka「まなびとESDステーション」でのリーディング公演の様子(大猫座)「北九州市立大学演劇研究会」『藍色の森』チラシ 恥ずかしながら告白すると、ESDという言葉をごく最近知った。ESDとは、「持続可能な開発のための教育」(Education for SustainableDevelopment)の略称だ。 現在主導機関となっているユネスコ(国際連合教育科学文化機関)によるとESDとは、環境、貧困、人権、平和、開発といった幅広い社会問題に関して、「さまざまな課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組むことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと。そして、それにより持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動のこと」なのだそうだ。 実は、我々とESDの関わりは深い。日本は、2002年「持続可能な開発に関する世界首脳会議」で『国連持続可能な開発のための教育の10年』を提案。同年の国連総会で2005年から2014年までの10年間を『ESDの10年』とすることが採択された。それを受けて、全国でさまざまな取り組みが行われてきた。 北九州市小倉北区の魚町銀天街内にある「まなびとESDステーション―まちなかESDセンター」で展開されている『北九州まなびとキャンパス』もそういった取り組みのひとつだ。かつてゲームセンターだった地下の空き店舗を改装した、真っ白な、お洒落な空間。北九州市内の10の大学が共同して、大学生が街の人々とつながりながら「持続可能な発展」を考え、実現するための活動を考え、学ぶ事ができる施設となっている。 縁あって、私の劇団「大猫座」が、昨年度の「北九州演劇フェスティバル」参加のリーディング公演会場としてこの場所を使用させていただいた。演劇公演会場として使用するのは「大猫座」が初めてだったのだが、小劇場とも、カフェなどの飲食店とも違う雰囲気を持った空間で、実に面白かった。 そして、今年7月、再び演劇公演が行われた。「北九州市立大学演劇研究会」の夏公演『藍色の森』(作:前田芽衣子/演出:野田春香/7月19日・20日)だ。学内よりもずっと地域に近い場所での公演は、大学生にとっても意味のある事だと思う。また、工夫次第でさまざまに表情を変える空間だけに、今後、演劇公演に適した場所として認知されれば、面白い事になるのではないか。今後の動きに注目したい。 「ESD」に含まれる「持続可能な」という単語は、きっと、演劇、特に地方の演劇界にとっても重要な要素だ。ここ数年、北九州市では、本当に久しぶりに新しい劇団が多く誕生し、若い演劇人が活発に活動を行っている。7月には、また新たな劇団が誕生した。劇団「空中列車」だ。旗揚げ公演『夢かと思った』(カフェ「engel」/7月26日・27日)を引っ提げて登場した彼らは、北九州演劇フェスティバルで上演された『モノレール公演「DANCE /燈」』に出演したメンバーだという。 そんな若い劇団を見ながら、いつも思う事は、「北九州市でずっと演劇活動を続けていってほしい」という事だ。一過性のお祭り騒ぎ的イベントではなく、この街で作品を発表する事を楽しんで、意味を、意義を見つけて、長く続けていってほしいと思うのだ。 もちろん、「持続可能な演劇環境」の基盤を整える努力もしなくてはならないだろう。そして、それは、私達、先輩演劇人の役目なのかもしれない。「持続可能な演劇環境」