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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

4す。59年には第一評論集『芸術の條件』(昭森社)を刊行しました。宗の美術への関心は、初めヨーロッパの前衛芸術にありましたが、縄文の文化、芸術に傾倒しはじめるころから、日本の美意識にその興味関心は移っていきます。縄文土器はもちろんのこと、焼物や書、絵画、生け花、作庭など幅広く論じ、『伏流水日本美』や『日本の美 その夢と祈り』(日本経済新聞社04年5月)などの著書を刊行しました。縄文の心が日本人の美意識に伏流水のように底流していると宗は考えていたのです。 宗の美術評論は、自己と事物との対話です。事物を前に受けた感動を、「そのまま」言葉に表そうとします。宗はこう言います。「美術評論というかたちをかりて、私は詩をかいていたのではなかったか」。詩と美術評論はジャンルでくくれば別のものですが、宗にとってその在り方は、同じ根を持っていたと言えるでしょう。 また宗は翻訳も手がけました。旧制一高ではフランス語を第一外国語とするクラスに入り、東京帝大哲学科を卒業後は、フランス文学専攻の大学院に進み、都立女子専門学校(現・首都大学東京)、法政大学でフランス語の教員として勤めました。経歴上、宗がフランス文学、フランス語文献の翻訳を行うことは、極めて自然の成り行きでした。初めて手がけた翻訳はアランの『音楽家訪問』(ダヴィッド社53年10月)です。この後、56年には師の一人である川口篤との共訳でエミール・ゾラ『ナナ』を翻訳刊行(下巻は59年)、のち、新潮社の『世界文学全集』に収められました。その他にアレクサンドル・デュマやモーパッサン、スタンダールなどの作品やロラン・バルトなどの思想家の著作、児童文学書などの翻訳も手がけました。 宗の翻訳は、今日でも広く読まれているものが多くあります。書店や図書館で、宗左近あるいは本名の古賀照一訳を探してみてください。 宗左近は詩のほかにも小説、文芸や美術の評論、翻訳、合唱曲や校歌の作詞などさまざまな仕事を手がけました。今回は本展のご案内として、特に美術評論と翻訳の仕事についてご紹介いたします。 旧制第一高等学校(現在の東京大学)在学時に、友人の峰岸啓三に誘われ美術の展覧会に出かける事がありました。また美術雑誌に載る絵画の写真を見て心躍らせる事もありました。ただ、評論を書く事と鑑賞とは別のことでした。 宗が美術評論をはじめたきっかけは、美術雑誌「みづゑ」の編集長で、宗も参加していた詩誌「歴程」同人でもあった詩人・山本太郎や「芸術新潮」編集長の山崎省三に勧められたことがきっかけでした。宗は自身が参加していた雑誌「同時代」や「歴程」の仲間たちに、美術に対する「目と心を開かれていった」と当時のことを回想しています。 初めての美術評論は『サルトルのジャコメッティの絵画論』(「美術批評」1954年11月)、『ジャコメッティの絵』(「美術手帖」54年12月)だと思われま文芸hiroba 稲 田 大 貴北九州市立文学館 学芸員Daiki Inadaようこそ文学館へ宙ソラのかけらたち―詩人・宗左近展― Ⅱ宗左近の仕事―美術評論と翻訳―【開催期間】2014年10月25日(土)~12月14日(日)※月曜日休館。11月3日、24日(月・祝)は開館、 翌日休館。※10月25日(土)の展示室入場は10時30分以降【観覧料】大人200円 中高生100円 小学生50円【開館時間】午前9時30分~午後6時(入館は午後5時30分まで)【お問合せ】北九州市立文学館 093(571)1505Information 宗左近詩人・美術評論家・仏文学者。本名・古こ賀が照てる一いち。1919 年5月1日、北九州・戸畑の牧山峠に生まれる。東京帝国大学哲学科卒業。法政大学で教壇に立ちながら詩作を行い、67 年、第三詩集『炎もえる母』で第六回藤村記念歴程賞を受賞。その他100 冊に及ぶ著書がある。02 年、北九州市民文化賞を受賞。04 年、チカダ賞(スウェーデン)を受賞。05年には日本現代詩人会より「先達詩人」の顕彰を受ける。06 年6月20 日逝去。『芸術の條件』(昭森社 59年12月)『伏流水日本美』(スカイドア 94年7月)エミール・ゾラ『ナナ』(新潮社 上巻:56年5月 下巻:59年12月)ロラン・バルト『エッフェル塔』翻訳原稿催事情報を見る