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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

7 CulCul 2014.November埋蔵文化財hiroba 宇 野 愼 敏遺跡からのメッセージ(公財)北九州市芸術文化振興財団埋蔵文化財調査室 学芸員Masatoshi Uno 対岸に若松区の久岐の浜を望む戸畑区の牧山には、直径10メートル前後の小さな円墳が30基ほどあったと伝えられています。牧山の頂上部に浄水池を造る際に多くの古墳が壊され、現在は西裾部に2基の古墳を残すのみです。 これまで採集された遺物は、階段東側の3号墳から鏡と共に丁ちょうじ字頭がしらの※1碧へき玉ぎょく製※2勾まがたま玉があります。鏡の鏡きょう式しきは不明ですが、勾玉は長さ40ミリ、幅22ミリ、厚さ12ミリで尾尻が細く尖とがり気味です。この勾玉はC字形ではなくコンマ形に近い形態から4世紀後半から5世紀初頭頃の古い様相を示しています。そうであれば同じ3号墳から出土したとされる鏡は小型倭製鏡の一種と考えられます。この時期に丁字頭勾玉や小型倭製鏡を所有するの浜とは距離にして約700メートルの、洞海湾入口部に所在し、最も狭まった海を眼下に臨む丘陵上に築かれていることで、防御上、最も重要な位置であると言えます。 この二つの特徴を合わせ考えると『日本書紀』仲ちゅう哀あい天皇8年の神じん功ぐう皇后記事が思いだされます。朝鮮出兵時に洞くきの海うみを訪れ、魚うお池いけ、鳥とり池いけを作ったことなど神功皇后伝説が洞海湾沿岸に残されています。 もう一つ参考となるのが洞海湾最奥部南岸に位置する諏訪遺跡です。ここから5世紀前半?中頃の伽か耶や 系陶質土器が出土しています。こうしたことから牧山古墳群の被葬者は、5世紀頃には朝鮮出兵に際し、ヤマト政権の出兵兵士をのせた船団の水先案内、もしくは出兵に関わった人たちの古墳であった可能性が強いと考えられます。 牧山古墳群は、そうしたわが国の古代史を裏付ける重要な古墳群の一つであり、これからも永く残していくべき遺跡の一つではないでしょうか。「洞海湾の海の豪族」被葬者は奈良・佐紀古墳群や瀬戸内海沿岸部の古墳から考えて、ヤマト王権とかなり密接な関係を持ち得た豪族と考えてよいでしょう。 現在保存されている4、5号墳は、丘陵西側裾部の標高12メートル前後に築かれています。4号墳(現1号墳)は直径9メートル前後の小型円墳で単室の横穴式石室です。出土遺物は鉄てつ鏃ぞく11本※3 、鉄刀、耳環わ、ガラス玉、碧玉製管くだ玉たまで※4す。5号墳(現2号墳)も単室の横穴式石室です。出土遺物は断面楕円形の耳環1個があります。4号墳は玄げん室しつが※5方形プラン※6と考えられ、6世紀末?7世紀前半頃に推定されます。5号墳はやや長方形気味の玄室プランと考えられ、鏡石が一石であることや出土した耳環も断面だ円形であること、そして4号墳と5号墳の間の周溝を共有していることなどからも4、5号墳ともにほぼ近い時期に築造されたことがわかります。 この牧山古墳群は二つの特徴があります。一つは、一般的に7世紀前後には武器の副葬が極めて少量となるのに対して4号墳の鉄鏃は少なくとも11本以上出土しており、一般的な鉄鏃の数本がセットであるものに比べると多いと言えます。 二つ目は対岸の若松区の久岐【このコーナーの次回掲載予定は1月号です】牧山の古墳(2号墳全景)出土した武器〈埋蔵文化財の展示案内〉・北九州市立埋蔵文化財センター(小倉北区金田1の1の3 093(582)0941)北九州市を掘る(78) 埋蔵文化財速報展『竪穴住居のくらし―上徳力遺跡第26地点の調査―』古墳時代の竪穴住居の台所から出土した土師器や須恵器60点を展示 常設展もあり。【開催期間】12月21日(日)まで【開館時間】午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)※毎週月曜日(休日の場合はその翌日)休館【入館料】無料・黒崎歴史ふれあい館(八幡西区黒崎3の15の3黒崎駅横コムシティ1F)常設展開催中常設展『城下町から宿場町へ~出土品が語る黒崎の歴史と文化~』、『シュガーロード・発掘物語』【開館時間】午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)※年中無休【入館料】無料※1 灯心の燃えさしの頭にできる、チョウジの実のような丸いかたまり※2 酸化鉄などの不純物を含み、不透明で色のついた塊状の石英※3 鉄製のやじり※4 弥生時代から古墳時代にかけて用いられた装飾用の玉の一種※5 古墳時代の横穴式石室などの棺を納める部屋※6 四角形の平面図装身具