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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

3 CulCul 2015.March演劇hiroba おおつか えみこ演劇の街は、いま大塚恵美子演劇事務所 代表Emiko Otsuka「子どもと保育研究所ぷろほ」ホームページ 「危ないと思ったら、アクセル踏んで!」 冒頭からなにを剣けんのん呑な、と思われる方もおられるかもしれないが、これは、私が尊敬するインプロバイザー(インプロ=即興演劇の俳優)の言葉である。演出家でもあり、ワークショップリーダーの経験も豊富な彼が、考えすぎて自由に表現できていない参加者に投げかけたものだ。稽古場は〝安全な?場所なのだから、失敗を恐れずチャレンジを、という意図なのだろうが、人生に置き換えてみても、なんだか勇気の出る、実に奥の深い言葉だと思う。 演劇は人の心の動きに関わる芸術だ。演劇に関わる人は必然的に人間心理の奥底に触れ、それについて深く考えることになる。優れた劇作家の言葉に、人の心に響くものが多いのはそのせいかもしれない。 つかこうへいの「人間にとって大切なのは、何を恥と思うかです。」や、井上ひさしの「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、ゆかいなことはあくまでもゆかいに」など、いずれも座右の銘にしたいくらい深い。 もう一つ、私のお気に入りを紹介したい。「大人とは、萎縮した子どもである」という言葉だ。カナダ出身の劇作家、演出家で、今やインプロの世界的権威となっているキース・ジョンストンの言葉である。彼は言う「子どもも大人も大した違いはない。ただ、萎縮しているかしていないかだ」と。 北九州は、そのキースの哲学を実践している活動が活発な地域なのだということをご存じだろうか。ワークショップというと、とかく都市部からのビッグネームがありがたがられる傾向にあるが、実は、地元にも世界基準の演劇教育のプログラムを実践している団体がある。ここでも何度かご紹介している、ドラマによる表現教育家たちのネットワーク「Dドラマティックramatic DデリバリーeliveryNネットワークetwork」もその一つだ。 今年度は、八幡西区の黒畑小学校で、演劇的手法による自己表現とコミュニケーションの授業を行った。彼らのモットーはずばり「子どもを子ども扱いしない」である。プロの演劇人やミュージシャンが本気で小学生と創作創造を行う教育プログラムの中から生まれた、これも名言だろう。 また、特定非営利活動法人「子どもと保育研究所 ぷろほ」でも、幼児教育に演劇の持つ力を生かすための理論と実践を学ぶ講座を開講している。 この「ぷろほ」は、九州大谷短期大学名誉教授の山田真理子所長が中心となって開設した保育者のための研究、教育機関だ。より専門的な知識、スキルを身に付けたい現役の保育者や、将「演劇の力を教育に」『やってみよう! アプライドドラマ』表紙図書文化社来の園長候補が自らの保育に対する考え方に磨きをかける目的のために、日本全国から集まっている。カリキュラムは「感覚統合」や「保護者支援プログラム」など多岐に渡るが、その中に「ドラマワーク」という授業があり、演劇的手法を使ったコミュニケーションと自己表現を学ぶことができる。 教育と演劇について書き始めると、あっという間に枚数が尽きてしまうので、興味を持った方が、理解、実践しやすい入門書紹介で拙文をまとめることとしよう。 『やってみよう! アプライドドラマ―自他理解を深めるドラマ教育のすすめ』(著:アレン・オーエンズ、ナオミ・グリーン/訳:小林由利子)だ。この本の中にも、さまざまな名言が詰まっている。ぜひ一読をお勧めしたい。