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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

7 CulCul 2015.March埋蔵文化財hiroba 山 口 裕 子遺跡からのメッセージ(公財)北九州市芸術文化振興財団埋蔵文化財調査室 学芸員Yuuko Yamaguchi 2013年8月?9月に上かみ徳とく力りき遺跡第26地点の調査を行いました。上徳力遺跡は1982年?95年までに25回の調査が行われ、弥生?古墳時代にかけての大規模な集落跡が確認されている遺跡です。 今回の調査では5軒の竪穴住居が確認され、そのうち1軒は古墳時代で、その他は全て弥生時代後期のものでした。市内では弥生時代後期になると、それまで平面円形の竪穴住居が主流であったものが方形へと変化していきます。確認された弥生時代後期の住居は3軒が方形でした。しかし、1軒は円形で、しかも張り出した部分が付いています。調査当初、この住居は中期のものだと考えていましたが、出土した土器は他の住居ときちんと整備されたものではなく、けもの道のようで、人々は舟に乗り、米を中心とした交易を行っていた」ということです。この記述は対馬国(現在の長崎県対馬市)についてのものですが、他の地域も大きな差はなかったと考えれば、長距離の移動については陸路よりも海路に頼っていた状況が想像できます。 実際の船の出土例はあまり多くはありませんが、大阪府八尾市の久きゅうほうじ宝寺遺跡では復元した長さが12メートルになる準構造船(丸太をくり抜いただけの船を元に、いくつかの部材を組み合わせて作られたもの)が出土しています。県内では、糸島市の潤うるうじとうきゅう地頭給遺跡から2隻分の船が、井戸枠に転用された状態で確認されました。また、船が描かれた土器や青銅器、木製品などは多くの遺跡から確認されており、当時の人々にとって船での航海は身近なものであったと思われます。 陸路がしっかりと整った現代において、海は主要な交通路からは外れがちですが、当時の人々にとっては重要な位置を占めており、また、他の地域との結節点でもありました。そうした海を介したつながりを上徳力遺跡にいた人々も持っていたのかもしれません。海はつなぐ同じ後期のものばかりです。では、なぜこの住居だけは後期になっても円形だったのでしょうか。 実は後期になっても円形の住居を使っていた地域があります。それは瀬戸内海の周辺で、しかも、張り出し部を持つタイプもしばしば見られるのです。 九州の東部地域では瀬戸内地域と関係のある遺物が多く確認されています。市内では小倉南区の重しげとめ留遺跡において貯蔵用の竪穴から搬入品と考えられる土器が出土し、同じくカキ遺跡からは土石流で堆積した土砂の中に瀬戸内系を中心とした外来系の土器が多く出土しています。また、長野尾おのぼり登遺跡では張り出し付きの円形住居から瀬戸内系土器が確認されています。 今回の上徳力遺跡の調査は狭い範囲であったためか、瀬戸内系の土器は出土していませんが、住居の形態から考えると、この地域と関連の深い人々が生活していた可能性があります。 『魏志倭人伝』には、当時の様子として「深林深く、道路は禽きん鹿ろくの径みちの如し」また、「良りょうでん田無く、海かいぶつ物を食らいて自活し、舟に乗りて南北に市し糴てきす」と記されています。「糴」とは、『広辞苑』によると「米穀を買い入れること。また、その米穀。」とあります。つまり、「道路は【このコーナーの次回掲載予定は5月号です】カキ遺跡から出土した瀬戸内系の壺上徳力遺跡の円形住居《参考文献》 武末純一・上田龍児「弥生土器の編年と地域間交流」『行橋市史 資料編 原始・古代』2006 大阪府立弥生文化博物館『弥生人の舟モンゴロイドの海洋世界』2013〈埋蔵文化財の展示案内〉・北九州市立埋蔵文化財センター(小倉北区金田1の1の3 093(582)0941)北九州市を掘る(79) 埋蔵文化財速報展『小倉城東ひがしくるわ曲輪の藩士屋敷跡ー古船場町遺跡の調査ー』陶磁器や瓦、ガラス製品など50点を展示。常設展もあり。【開催期間】4月26日(日)まで【開館時間】午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)※毎週月曜日(休日の場合はその翌日)休館【入館料】無料・黒崎歴史ふれあい館(八幡西区黒崎3の15の3黒崎駅横コムシティ1F)常設展開催中常設展『城下町から宿場町へ~出土品が語る黒崎の歴史と文化~』『シュガーロード・発掘物語』【開館時間】午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)※年中無休【入館料】無料