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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

4 北九州市では昨年度「林芙美子文学賞」を創設し、あわせて「林芙美子記念室」(旧門司三井倶楽部2F)をリニューアルオープンいたしました。 今回は、門司生まれの作家・林芙美子にちなんだ二つの事業を紹介します。○第1回(2014年度)林芙美子文学賞 「心を噴きあげるようないい作品を書きたい」と願った林芙美子は、生涯庶民に寄り添い、庶民的作家として昭和の激動期を駆け抜けました。その作品は、時代や運命に翻ほん弄ろうされながらもたくましく生きようとする人々を支え、勇気づけ、今日まで読まれ続けています。『放浪記』や『浮雲』などの傑作のほか、『清貧の書』、『晩菊』、『骨』など珠玉の短編小説を遺のこした芙美子にちなんで、文学賞は「短編作品」を対象としました。 第1回(14年度)は、国内外の1548人から1602編の応募がありました。審査は、第1次選考、第2次選考を経て、最終選考委員に直木賞作家の井上荒野さん、角田光代さん、芥川賞作家の川上未映子さんを迎え今年1月に選考を行いました。 大賞作品に、井い岡おか道みち子こ さん「次つぎの人」、佳作に志し馬ま さち子さん「うつむく朝」、高倉やえさん「ものかげの雨」の2作品が選ばれ、2月28 日に表彰式が行われました。 表彰式では北橋健治市長より、賞状、表彰盾、副賞目録が贈られました。受賞者の皆さんは、受賞の喜びと今後の創作に対する決意を語っていました。以下、大賞作品の内容と選考委員の講評(一部)を紹介します。 物語は、東京で働く44歳の楓ふう子こが、祖母が一人で守る四国の実家に年末に帰省するところから始まります。1年ぶりに祖母と静かな時間を過ごしていたその夜、隣家の老人が急死し、大林芙美子文学賞表彰式と記念室リニューアルオープン(2015 年2月28 日)林芙美子記念室(旧門司三井倶楽部2F)【住所】門司区港町7の1【開館時間】午前9時~午後5時年中無休【料金】大人100円 小中学生50円【お問合せ】門司港レトロ総合インフォメーション093(321)4151Information文芸みそかに葬儀をすることになります。集落では慌ただしく準備が進められ、楓子も手伝いをします。村では、弔いの道案内をする〝野ぼて※ ?という風習が残っており、祖母が引き受けることになります。引き受けるものは「次に死ぬ者」とされる役目でもありました。田舎の風習と絡めて、人間の死が静かなタッチで描かれています。 作品は、雑誌『婦人公論』4月14日号に掲載されます。審査委員講評(抜粋)田舎の風習の描き方など描写力が素晴らしい。出来が良すぎ、まとまりすぎているのが難というくらい。 井上委員全作品の中でバランスが一番良かった。少し気持ちの悪い田舎の風習が伸びやかな筆致で描かれていて好ましい。 角田委員完成度が頭ず抜ぬ けていた。エピソードのバランスが良く、文章の抑制が効いている。 川上委員 第2回(15年度)林芙美子文学賞の募集については、募集要項が決まり次第、文学館ホームページ等でお知らせいたします。hiroba 小 野   恵北九州市立文学館 学芸員Megumi Onoようこそ文学館へ○林芙美子記念室 林芙美子の生涯と作品を資料とパネルで紹介しています。展示室をこれまでの2部屋から4部屋に拡大し、原稿、書簡、日記や手帳、絵画、書などの自筆資料をはじめ、交友のあった作家からの書簡、愛用の品々、映画化作品のポスターなどおよそ150点を展示しています。書斎(現・新宿区立林芙美子記念館)の再現も見どころです。※ 先端に火が付いた荒縄を持ち、右手で先を回しながら列の先頭を歩く役目。林芙美子下落合の和洋式洋館にて(1932年頃)前列左から2番目より志馬さん、井岡さん、高倉さん。後列左から3番目より井上さん、角田さん、川上さん。展示室Ⅱでは、映像コーナーやタッチパネルによる資料閲覧コーナーを設けている。再現した書斎