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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

5 CulCul 2015.April美術hiroba 山 下 理 恵美術館へ行こう!北九州市立美術館 学芸員Rie Yamashita北九州市立美術館 分館再興第99回 院展 春の訪れとともに、再興第99回院展が北九州市立美術館分館にて開幕します。 院展を主催する日本美術院は日本画の研究機関として1898年、岡倉天心によって創立されました。天心に賛同した横山大観、下村観山、菱田春草らは、西洋の技法を取り入れた新しい日本画の創造を目指し、天心の指導のもと研究を深めていきます。院展(日本美術院展覧会)は、その成果を問うものとして開催されてきました。やがて、主力画家の海外留学や経営難によって一時は活動休止となりましたが、天心の病没を機に1914年、横山大観らによって再興されました。以来、「日本美術院は芸術の自由研究を主とす、故に教師なし先輩あり、教習なし研究あり」の精神で、作家たちは互いに切せっさたくま磋琢磨しながら画題や画材、技法に工夫を凝らし、独自の世界を切り開いてきました。再興から100年を越えた現在も、新しい世代の作家たちが、先人たちが築いてきた精神を受け継いでそれぞれ新たな日本画の創造に挑戦し続けているのです。 再興第99回院展は昨年9月から東京都美術館を皮切りに全国13カ所を巡回し、北九州は12番目の会場です。院展の出品者には一般と同どう人にんの区分があります。同人は日本美術院の正会員にあたり、一般部門で入選、受賞を重ねた作家から特に人格と芸術を重視し選考されます。院展は公募展として知られていますが同人には審査がありません。同人は毎年新作を出品しなければならず、審査がないとはいえ研鑽さんを怠ることなく自己の芸術を高めることが要求されます。一方、一般の部は公募で、年齢も経歴も異なる人々が腕を競います。第99回展は、応募総数557点の中から、268点(招待、無鑑査含む)が入選となりました。北九州展では、同人の作品32点と入選作品から九州出身または在住作家の作品および受賞作品、合わせて71点を展示します。 その中から2点を紹介します。大画面に広がる夜景が美しい『長崎旅情』(図1)は、長崎出身の松尾敏男が初めて描いた故郷の風景です。松尾が長崎に住んでいたのは3歳までですが、幼い頃に親しんだ長崎の風景や色彩は強く印象に残っていると言い、本作には故郷への愛着と感謝が込められています。 抽象的に描かれたステンドグラスの鮮やかな色彩とドレスや花びらの純白との対比が印象的な宮北千ち織おりの『佳よき日』(図2)は、文部科学大臣賞を受賞しました。明るく華やかな結婚式には、人物、白い布、舞う花びらなど、宮北の好むモチーフが集まっており、ハレの日の華やぎと宮北自身の描く喜びが伝わってきます。 一口に日本画といっても、院展に出品される作品は多種多様です。見ごたえある作品が並びますので、新たな日本画の創造に挑む作家たちの気迫を会場で感じていただきたいと思います。再興第99回 院展【会場】北九州市立美術館 分館(リバーウォーク北九州5F)【会期】4月10日(金)~5月6日(水・振)※会期中無休【開館時間】午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)【観覧料】一般800円(600円)、高大生500円(400円)、小中生300円(200円)※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金。【お問合せ】093(562)3215Information◎美術講演会「院展の作品について」【日時】4月10日(金)午前11時~正午【講師】松尾敏男(日本美術院同人、理事長)【場所】北九州芸術劇場 中劇場(リバーウォーク北九州6F)Event図1 松尾敏男(同人)『長崎旅情』図2 宮北千織(同人)『佳き日』文部科学大臣賞催事情報を見る