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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

3 CulCul 2015.May演劇hiroba おおつかえみこ演劇の街は、いま大塚恵美子演劇事務所 代表Emiko Otsuka高校演劇春フェス2015 最近観た演劇作品の中で一番面白かったものを挙げて、と頼まれたら、私は迷わず『生徒会室、四月一日』と答えるだろう。 これは、2014年12月に鹿児島で行われた『第56回九州高等学校演劇研究大会』で久留米市立南筑高等学校演劇部が上演した作品だ。この大会は、いわゆる〝九州大会?と呼ばれるもの。各県の地区大会、県大会を経て選ばれた高校が競演する。南筑高校は惜しくも全国大会出場権を得られる最優秀賞こそ逃したものの、優秀賞を受賞。九州ブロック代表として『第九回春季全国高等学校演劇研究大会(フェスティバル2015)』に出場した。 『生徒会室、四月一日』は顧問の高場光春先生と演劇部の共同創作作品。入学式を前にした生徒会室を舞台に、いつも嘘をついて生徒をけむに巻いている「ワタヌキ先生」と、先生に翻弄されて右へ左へと大騒ぎを繰り広げる生徒会役員たちを描いた上質なコメディ作品だ。〝嘘?という劇的な武器をフル活用し、登場人物がだまされたり、観客がだまされたり、舞台と客席が一体となって実に濃密な1時間を駆け抜けることができる。劇作家としても「こんな脚本を書いてみたい」と嫉妬心を覚えるくらいバランスの良い作品だった。 2014年度の九州大会では、他にも上質な作品が多く上演されたが、そのうちの数本を北九州でも観ることができる。5月4日と5日、北九州芸術劇場小劇場で行われる『高校演劇春フェス2015』だ。 これは、もともと北九州地区の演劇部の幾つかが集まって行っていた合同発表会を、北九州芸術劇場の協力を得て進化発展させたものだ。小劇場での作品上演を通して、生徒たちに実践的に舞台技術を学んでもらおうと始めたそうだ。現在では、大会のルールに縛られず(大会では上演時間は1時間以内。仕込みの時間も極端に短いので、ある程度舞台装置を簡略化せざるを得ない)、また〝審査?という縛りを意識しない自由な作品創作を行い、4月から初めて高校演劇に触れる新入部員のモチベーションを上げる目的で行われているという。 作品上演に先駆けて、2日間劇場スタッフからテクニカルを学ぶ。その後5月4日と5日が成果発表としての作品上演日となり、入場無料で一般公開される。今年の参加校は、小倉高校、中間高校、中村学園女子高校、そして、九州大会で最優秀賞を受賞し、2015年夏に全国大会に出場予定の大分豊府高校。 この大分豊府高校が九州大会で上演した『うさみくんのお姉ちゃん』が、人と会話するのが極端に苦手な男子生徒をめぐる心温まる快(怪?)作なのである。そして〝報道の自由?という社会的問題を実にうまく高校生の日常生活に落とし込んで描いた中間高校の『ペンとケンと』も興味深い作品だ。また、小倉高校、中村学園女子高校もこだわりの作品創りに定評のある高校。魅力的なラインナップだ。 いわゆる〝プロ?が高校生を使って創る作品は世に数多く存在する。その多くがお祭り騒ぎ効果で高校生のエネルギーを花火のように爆発させていて、それはそれで魅力的かもしれない。だが、先生と生徒がじっくりと話し合い、生徒が大人の操り人形ではない状態で舞台に立っている作品は、見ていて心地良いと私は思う。この原稿を書いている時点では、上演順などは未定であるが、ぜひ詳細情報をチェックして、ゴールデンウィーク中時間がある方は、足をお運びいただきたい。みみほんろう講座風景 2講座風景 1