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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

3 CulCul 2015. July演劇hiroba おおつか えみこ演劇の街は、いま大塚恵美子演劇事務所 代表Emiko Otsuka演劇の春。 演劇に適したシーズンなどというものは存在しないが、地元劇団にとって〝公演をやりやすい時期?というものは存在するようだ。毎年5月から6月にかけて「春の演劇シーズン」と呼んでもよさそうな時期がある。今回はその時期に行われた公演について、いくつか紹介させていただきたい。 まずは、「劇団青春座」だ。北九州芸術劇場中劇場で行われた第224回公演は『久女の恋』(作:橋本和子/演出:井生定巳/5月23日・24日)。北九州ゆかりの女流俳人、杉田久女の生涯を描いた作品だ。「劇団青春座」は、今年で創立70周年を迎えるという。演劇に関わったことがある方はお分かりかとは思うが、一つの作品を舞台に乗せるまでには、とてつもないエネルギーが必要だ。地元の劇団は、メンバーが昼間に別の仕事を持っている場合が多いのだが、そういった劇団に聞いてみたところ、練習期間は概ね3カ月、というところが多かった。1回の稽古時間が2時間から3時間として、多くても270時間程度か。その限られた時間内に、価値観の違う人間同士が、時には対立し、時には駆け引きをしながらイメージを共有し、作品は創られていく。「青春座」の70年を思うと、そういったエネルギーを持続させるための努力と工夫を想像して、自分も背筋を伸ばさねば、という気持ちになる。 5月には、もう一つ注目すべき出来事があった。昨年12月ころから改装作業に入っていた「枝光本町商店街アイアンシアター」がリニューアルオープンしたのだ。舞台、照明設備などの充実によって、より使いやすい魅力的なスペースとなった。これを記念して、5月22日に、記者発表とレセプションパーティーが行われた。 そして、6月には、その新しい劇場施設を使って、2劇団が公演を行った。「演劇作業室紅生姜」の『語り劇 菩提樹の蔭』(原作:中勘助/脚色・構成:山口恭子/6月5日・6日)と、「ブルーエゴナク」の『POP!!!!』(作・演出:穴迫信一/6月12日?14日)だ。 「 紅生姜 」は第20回公演。〝語り?に加えて、スリットドラムやカリンバでの音楽演奏で、中勘助の世界を丁寧かつ繊細に立体化した作品。 「ブルーエゴナク」の方は第8回公演。そろそろ〝中堅?の風格も漂う。「脚本はそのままに、俳優がテンションを跳ね上げて上演」するハイテンション公演の回を設けるなど、観客の心をくすぐるのがうまい。目が離せない劇団だ。 アイアンシアターの施設充実により、地元劇団の利用も今後ますます増えていくのではないかと思うが〝カフェ?も、劇団の公演場所として定着しつつある感がある。 6月には小倉北区馬借のカフェ「cream」で宮村耳々(ジジ)と森岡光(ピッピ)が、二人芝居『おとこのこと』(脚本:藤本瑞樹(二番目の庭)・宮村耳々、演出:宮村耳々・森岡光/6月13日・14日)を上演。また、小倉北区大門のカフェ「engel」で劇団「空中列車」が『摩訶不思議w e a k e n d 』( 6 月20日・21日)を上演した。 どちらも、音楽や映像などさまざまなイベント経験があり、作品上演にあたって、創り手と一緒になって、積極的に楽しんでくれる姿勢を持ったカフェだ。 カフェ公演は〝お手軽?に思えるが、実は創り手のセンスが最も問われる空間ではないかとも思う。創作者の腕試しができる空間が街にたくさんあるのは、とても喜ばしいことではないだろうか。宮村耳々×森岡光二人芝居『おとこのこと』チラシ劇団青春座『久女の恋』チラシ