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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

3 CulCul 2015.August演劇hiroba おおつか えみこ演劇の街は、いま大塚恵美子演劇事務所 代表Emiko Otsuka外からの風 先月号で、「枝光本町商店街アイアンシアター」のリニューアルオープンと、その〝こけらおとし?となる「演劇作業室紅生姜」「ブルーエゴナク」の公演について紹介させていただいた。今月は、この2劇団に続いて上演された、さらに興味深い作品を紹介したい。 「village80%」の『彼女についてわたしたちが知っているいくつかのこと。』(テキスト構成・演出:高山力造/6月27日・28日)だ。 この公演には注目したい点が二つある。 一つは、もともと福岡市を拠点としていた「village80%」がこの拠点を北九州に移した最初の作品であるということだ。福岡市やその近郊の演劇人が北九州で演劇活動を行うのは、最近では珍しくはなくなってきているが、〝劇団丸ごと?移ってくるケースは初めてと言ってもいいのではないだろうか。劇団は2004年結成。10年近く育んできた観客との関係や、使い慣れた劇場などを離れるのはかなり勇気のいることだったのではないかと想像する。 二つ目はキャストだ。「超人気族」の橋本隆佑、「飛ぶ劇場』の中川裕可里、太田克宜など、北九州で人気の劇団からの客演陣が目を引くが、個人的に注目したいのが「Nomad」の鈴木春弥だ。 この「Nomad」は「演劇ユニット 永久磁石」が2014年に改名したもの。私は、同年3月に行われた「ふくおか学演祭2014」参加作『或る棋士の肖像』(作:工藤菜香/演出:鈴木春弥)を観たことがある。わずか数十分の一人芝居だったが、とにかく〝センスの良い?若手が現れたと興奮を禁じ得なかった。 「village80%」が北九州で創作創造活動を始めることが、さらなる新たな動きを生み出すのではないか。そんな期待を持って、今後の動きを見守りたい。 さて、演劇界に、なにやら新しい出来事がたくさん起こったこの夏、海外からの風も吹いてきた。北九州芸術劇場が、ここ数年、沖縄の「国際児童青少年フェスティバルおきなわ」と提携して、未就学児でも楽しめる作品を上演している。今年はポーランドの「シアターアトフリ」による『Pan Satie(邦題:サティさん)』(7月18日・19日/北九州芸術劇場小劇場)だ。 対象は1歳から。保護者の膝上であれば0歳児でも観覧できる。日本ではまだまだこんな乳幼児向けの作品が少ない。また、そういったふれこみの作品を見に行くと、客席がとんでもなくざわざわしていることも多い。間違ってそんな作品を大人一人で見に行ってしまったら「小さな子ども向けだから仕方ないわよね」と諦めるしかない。 そんな経験をした人がこの『サティさん』を見たら、〝子ども向け?という言葉への意識が全く変わってしまうかもしれない。「シアターアトフリ」は、2008年から1?5歳の乳幼児を対象とした作品創作を行っている。音楽と、歌と、身の回りにあるものが醸し出す音を使って、見事に子どもたちの心をひきつける。彼らの作品が上演される空間には、飽きてしまって「帰る?」と連呼する幼児は存在しない。もちろん、大人が観てもしっかり楽しめるクオリティだ。私は決して海外演劇礼賛者ではないが、児童青少年演劇の分野ではまだまだ海外に学ぶことが多いのは認めざるを得ない。 「外からの風」は心地よい。その風に吹き飛ばされてしまわないように、しっかり足を踏みしめて、創作創造に臨まねば、と背筋を伸ばす初夏である。みみvillage80%『彼女についてわたしたちが知っているいくつかのこと。』チラシシアターアトフリ『サティさん』舞台写真