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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

6 プロとして活躍する漫画家は、それぞれに高い技量を持っているものですが、漫画家たちが口をそろえて〝あの人はうまい?と、憧れを込めて語るような漫画家は、そう多くはありません。江口寿史は、そんな〝別格にうまい?漫画家の一人です。 例えば、図1。テレビアニメにもなった代表作『ストップ!!ひばりくん!』(『週刊少年ジャンプ』連載、1981?83年)です。近年のいわゆる「男の娘(こ)」(=女装した美少年)の先駆けとなった作品で、右側の美少女ひばりくんは実は少年なのですが、それだけに、ひばりくんをどれだけかわいく描けるかに作品の成否がかかっています。 この絵を観察して気付くのは、鼻が極端に簡略化されていること。本来、鼻筋の美しさは「美女」の必須要素です。1970年代までは、漫画の美少女も鼻をしっかり描くのが一般的だったのですが、80年代に江口が鼻をどんどん簡略化していった結果、今では漫画で美少女を描く手法としてすっかり一般化しています。 〝うまい絵?というと、濃密に描きこまれ陰影に富んだ、いわゆる「写実的」な絵を連想しがちです。しかし漫画は元々、略画的な表現を核として成立したジャンル。描き込みのうまさ以上に、省略のうまさが厳しく問われます。江口の場合、下描きを二度行うことで、線を省いていくとのこと。最初に描くスケッチは「いくつも線があって、他の人が見ると、どの線が正解か分からないようなもの」ですが、そのスケッチをトレース(紙を重ねて写し描き)する過程で、必要な線だけを拾い上げ残していくことで、自分の絵になるのだと、江口は語っています(『季刊エス』2015年夏号掲載インタビューより)。 そんな江口寿史の38年間の画業を集大成した画集『KINGOF POP』(玄光社)が刊行さ漫画家・江口寿史  圧倒的な絵の〝うまさ?の秘密漫画hiroba図1 『ストップ!!ひばりくん! コンプリート・エディション』第3巻カバーイラスト(小学館クリエイティブ、2010年)図3 ロイ・リキテンスタインの手法で描かれた「ストップ!!ひばりくん!」(2011年)cEguchi Hisashiれる運びとなり、それを記念した展覧会を北九州市漫画ミュージアムで開催します。最初の連載作にして出世作である「すすめ!!パイレーツ」(『週刊少年ジャンプ』連載、1977?80年)をはじめとする漫画原稿と、美麗なイラスト作品群(図2、3)を、一堂に集めた大展覧会です。9月19日(土)と20日(日)には、江口寿史本人がご来館の皆さまの似顔絵をスケッチする形での作画実演も予定しています。上述した絵のうまさだけでなく、テンポが良くてキレのあるギャグや、最新のファッションやグラフィックデザインを作品に取り入れることで生まれるおしゃれさ・ポップ感など、江口寿史の魅力の全体像を、ぜひ会場でご体感ください。表  智 之北九州市漫画ミュージアム 専門研究員漫画と北九州Tomoyuki Omote【開催期間】9月19日(土)~11月3日(火・祝)【開館時館】午前11時~午後7時(入館は午後6時30分まで)【休館日】毎週火曜/ただし9月22日・11月3日は開館、9月24日は振替休館【入館料】一般500円、中・高生300円、小学生150円【常設展とのセット券】一般800円、中・高生400円、小学生200円【お問合せ】北九州市漫画ミュージアム 093(512)5077江口寿史展 KING OF POPInformation図2 「2 COW GIRLS」(2015年)。アンディ・ウォーホルがエルヴィス・プレスリーを描いたポスター作品のパロディ催事情報を見る