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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

3 CulCul 2015. October演劇hiroba おおつか えみこ演劇の街は、いま大塚恵美子演劇事務所 代表Emiko Otsuka中学生と演劇 7月25日、ウェルとばたにて北九州市内中学校の合同発表会が行われた。今年の参加校は5校。▽上津役中学校演劇部『レンタ ルおじいちゃん』(作:今野 浩明)▽明治学園中学校『ドリームシ ョップへようこそ』(作:ク ロカゼ)▽篠崎中学校演劇部『空のでき ごと』(作:志野英乃)▽広徳中学校演劇部『七人の部 長』(作:越智優)▽田原中学校演劇部『とも』 (作:斉藤俊雄) 毎年7月後半に行われるこの大会は、コンクール形式をとっており、審査員によって選ばれた優秀校は10月に行われる『北九州市中学生総合文化発表会』でもう一度作品を上演することができる。今年は広徳中学校が優秀校となった。 高校演劇と比べて、中学校演劇は指導者(多くの場合、顧問の先生)にかかる負担が非常に大きい。そのせいか、演劇部がある中学校の数はとても少ない。活発に活動していた演劇部が、顧問の先生が異動したために継続できなくなった例も聞く。 中学生、高校生が演劇をやる意味については諸説あるだろうが、私は「相手と向き合う勇気と力」を自分の中に発見することだろうと思っている。舞台の上で一緒に緊張の時間を過ごす仲間と向き合う、また、自分を見つめている観客の目と向き合う、そういうことだ。思春期を迎え、人間関係も複雑化していく中学生こそ、演劇を体験するべき年代と言っても過言ではないだろう、とも思っている。 小学生のころ、よく「気持ちを一つにしてやれ」と指導された。しかし、当時の自分を振り返ってみると、「ああ、一つにすればいいんだな」と、頭でぼんやりと受け止めていただけで、実際どういうことなのかを理解するまでには至っていなかったと思う。演劇ならそれがどういうものなのか、具体的に体験できるのだ。 日本において、演劇が教育の中になかなか根付かないのは、スポーツと違って、成長発達の度合いが分かりにくいからだろう。確かに評価しにくい分野だ。しかし、近年、ヨーロッパや東南アジアの実践事例の研究も進み、教育メソッドとしての認知度は確実に上がりつつある。 北九州市内には、声の出し方や表情の作り方などの表面的な演技技術ではなく、演劇から得られたフィクショナルな体験を現実の生活の中に落とし込む指導ができる演劇人が複数存在する。そういった演劇人と小中学校がつながり、もっと演劇が学校の中で盛んに行われるようになれば良いと心から思う。 同時に、小中学生が参加できる劇団が市内にもっと増えれば良いのにとも思う。8月23日、劇団パワーキッズが新作『コドモのシゴト』(作・演出:市岡洋/ウェルとばた)を上演した。1998年に結成され、北九州市と福岡市を拠点として息の長い活動を繰り広げているミュージカル劇団である。演じる楽しさ、表現するうれしさを全身で表した作品は見ていて気持ちがいい。 ミュージカル劇団は他にも数団体存在するが、子どもを中心としたストレートプレイの劇団は皆無に等しい。子どもとじっくり対話をしながら、子どもにしか生み出せない世界を描くような劇団が生まれたら、また北九州の演劇がぐっと豊かになるに違いない。上津役中学校演劇部『レンタルおじいちゃん』舞台写真田原中学校演劇部『とも』舞台写真