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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

233北九州市立松本清張記念館あらためて、世界文学とは? 私たちは子どものころから、さまざまな世界文学に触れています。読書からでなくても、例えばアニメや映画、ドラマ、舞台劇などを通じて―『赤毛のアン』、『西遊記』、『小公女』、『レ・ミゼラブル』等々― あまりに身近で、《世界文学》なんて堅苦しいかもしれません。 では、あらためて、《世界文学》とは何でしょう? よく対比として用いられるのが《国民文学》です。つまり、国内で受容されている文学、あるいは国家の成立、国民性に強く結び付いている文学が《国民文学》で、それらの差異を越えて、世界で受容、評価されるのが《世界文学》というわけです。 松本清張が少年だった時期に、『世界文学全集』(新潮社)が出版され、大変な人気となりました。清張もこれを愛読しています。この全集に収められた作品は、長らく日本における世界文学の古典とされてきました。以来、日本語訳の世界文学として、繰り返し出版され、読み親しまれています。清張作品を演出する世界文学のエッセンス 2時間サスペンスドラマのクライマックスシーンと言えば〝崖っぷち?が定番ですが、その元祖とされるのが、清張の長編小説「ゼロの焦点」です。主人公・鵜原禎子が、能登半島から日本海を見つめる場面は、今なお私たちの胸に迫るものがあります。そのとき、彼女の胸に〈思いがけなく、学生時代に読んだ外国の詩の一節〉が浮かびます。ここに登場する詩は、エドガー・アラン・ポーの「TheCity in the Sea」と「AnnabelLee」を合成したものということが、ポー研究者によって明らかになりました。ポーの詩や小説は、清張作品にしばしば登場し、その詩情を演出しています。その他、モーパッサン、ドストエフスキー、シェークスピア、モーム…と挙げればきりがありませんが、外国文学が清張の小説を演出し、時には謎解きなどに大切な役割を果たしているケースもあります。晩年には、海外取材で訪れた国々の文学に思いをはせ、それらを多彩に取り入れた作品を多く書きました。そこには、かつて耽溺した外国文学の世界に、自由気ままに遊ぶ清張の姿さえ見受けられます。翻訳された清張作品 「国民作家」とも呼ばれる清張は、先に触れた《国民文学》の代表と言ってもいいかもしれません。しかし、調査してみると、清張作品の翻訳出版は、のべ200点近くにも及びます。1960年代から始まり、80年代をピークに、現在でも台湾、中国、韓国の出版社からシリーズ化して出版され、欧米では近年、フランス語、英語、スペイン語での翻訳出版がありました。 海外で翻訳出版された清張作品は、本の装丁も全く違い、まるで別の作品のような印象を受けます。それぞれの国で、言語で、どのように読まれるのかも興味深い点です。 これらの翻訳書を眺めれば、新たな清張作品と出会ったような新鮮さを覚えることでしょう。ぜひ、足をお運びください。企画展ポスターデザイン上記イラストは清張が描いたもの。1964年にシェークスピアの生誕地を訪れたとき、ちょうど生誕400年祭の真っ最中だったことを表現している。そして奇遇にも、2016年はシェークスピア没後400年にあたる専門学芸員 柳 原 暁 子 Akiko Yanagihara「世界文学と清張文学」特別企画展たんでき※  かつて東アジア各国で数多く出版された海賊  版については、確認できる範囲で換算した。スペイン語訳『点と線』2014年英語訳『霧の旗』2012年韓国語訳『黒い手帖』2014年中国語訳『神々の乱心』2013年特別企画展「世界文学と清張文学」【開催期間】1月16日(土)~3月31日(木)【開館時間】午前9時30分~午後6時(入館は午後5時30分まで)【休館日】年末(12月29日~31日)【観覧料】一般500円(400円) 中高生300円(240円) 小学生200円(160円)※( )内は30名以上の団体料金【お問合せ】北九州市立松本清張記念館093(582)2761Information催事情報を見る