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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

3 CulCul 2016.January演劇hiroba おおつか えみこ演劇の街は、いま大塚恵美子演劇事務所 代表Emiko Otsuka高校生たちの「今」 2015年10月9日から11日の3日間、中間ハーモニーホールにて「平成27年度高文連演劇部門北九州地区大会」が行われた。今年度の参加校は14校。▽明治学園高校『晴れのち晴れ のち雨のちハレルヤ』 (作:濵田梨渚)▽戸畑工業高校『心結び』 (作:木村紗理伽)▽ひびき高校『僕らの放課後ヒ ーロー伝説』(作:細石雅)▽北九州高校『夢に流離い、 たどり着いたその先に。』 (作:有馬蓮)▽門司学園高校『拡声器』 (作:門脇未苑・溝越そら)▽小倉高校『Point Of No   Return』(作:大田崚生)▽中間高校 『La lune et le   soleil』(作:小原雅之)▽八幡高校『The Three    Roses』(作:深田妃佳里)▽折尾高校『とある』 (作:長谷川翔子)▽東筑高校『Step』 (作:瓦田結希絵)▽八幡南高校 『夏の日の約束』 (作:中島幹雄)▽小倉商業高校『からあげ』 (作:藤井日菜)▽西南女学院高校『赤い靴』  (作:瀬川慧)▽戸畑高校『おつまみシューク リームプリン』 (作:岡崎真子) 北九州地区は、もともとオリジナルの創作脚本の上演が多い地区だが、今年はなんと全作品がオリジナル。そして14校中、中間高校と西南女学院高校以外の12校が生徒創作の脚本だ。ちょっと前までの「等身大」「教室物」以外にも、ファンタジーやサスペンス要素の強い作品が見られたのも興味深かった。そういったバラエティに富んだ作品たちの中に、高校生の「今」が垣間見られる面白い大会だったと思う。 結果は、県大会へと進むことのできる「優秀賞」を門司学園高校・中間高校・戸畑高校が受賞。「創作脚本賞」を明治学園高校が、「舞台美術賞」を西南女学院高校が、そして「奨励賞」をひびき高校が受賞した。 印象的だったのは、門司学園高校の『拡声器』。制服を着た女子高生たちが教室に出たゴキブリを巡って大騒ぎをしている。なんとも平和で微笑ましい光景だ。そのうち授業が始まる。社会科の勉強なのか、戦争の話から武器へと話題は移り、教室は和気あいあいと盛り上がっている。しかし、突然警報が鳴り響くと、女子高生が一斉に立ち上がり、机の横にかけていた鞄から銃を取り出し、号令と共に教室を飛び出していくのだ。彼女たちの銃を扱う慣れた手つきに、不意を突かれ、ぞっとした。 他にも魅力的なシーンはいくつもあった。明治学園高校や戸畑高校のかわいらしい物語展開、中間高校、小倉高校のテンポの良い熱演、西南女学院高校の役者と舞台のバランスの美しさなどなど。 最近の高校生は本当に「会話」を書くのが上手い。軽妙洒脱なやりとりに感心する作品が幾つもあった。しかし、「人間関係」を描くのは年々下手になっているように思う。せっかく劇的な事が起こりそうな場面で、相手にきちんと向き合わず、話をそらしたり、曖昧な展開にしてしまっている作品が多かった。これもまた、高校生の「今」を反映しているということなのだろうか。現実の世界は彼らにとってそんなにも「キケン」な場所なのだろうか。そんなことを考える3日間でもあった。 ともあれ、劇場には、高校生たちの緊張感と高揚感から発生する熱が満ちていて心地よかった。審査結果など関係なく、どの作品も世の中にたった一つしかない彼らの宝物であろう。大切に心の中に置いていてほしいと思う。さすらけいみょうしゃくだつ戸畑高校『おつまみシュークリームプリン』舞台写真中間高校『La lune et le soleil』舞台写真門司学園高校 『拡声器』舞台写真