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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

3 CulCul 2016.February演劇hiroba おおつか えみこ演劇の街は、いま大塚恵美子演劇事務所 代表Emiko Otsuka演劇祭三つ、今年も。 秋は、毎年「枝光まちなか芸術祭」「海峡演劇祭」が楽しみな時期である。さらに今年は、例年2月から3月にかけて開催されていた「北九州芸術工業地帯」が2015年9月から16年3月までというかなり長いスパンで行われるようになったために、この性質の違う三つの演劇祭が同時期に動くという面白いことも起こった。 もちろん、面白いのは開催時期が近かったことだけではない。「枝光まちなか芸術祭」も「北九州芸術工業地帯」も商店街を舞台としたダンスプログラムを実施した。前者は『ラスダンッ!』と銘打ち、参加団体有志が観客を巻き込んで行うダンスパフォーマンス。そして後者は『踊って!!京町』というタイトルで、こちらはなんと京町商店街の店主たちも巻き込んだフラッシュモブ(不特定多数の人たちが申し合わせて、公共の場で突然ダンスや演奏などを始めるパフォーマンスの形)系のプログラムだ。 劇場という閉じた空間を飛び出し、商店街を舞台に観客を巻き込み、パフォーミングアーツと観客との〝敷居?を踏み越えていくプログラムが、二つの演劇祭で行われたことは非常に興味深い。今後どのように発展してくかに注目したい。 これに対し、「海峡演劇祭」は今年も一癖も二癖もあるプログラムで観客に挑んだ。 『誰かと暮らす「社会」。やりとりで知る他者の感覚は不思議がいっぱい。でも、「私」が当然と思ってる日常も仕方が無いと諦めている物事も常に、途上。変わっていくし、変えられる。「あなた」と「私」の日常を、ここから一緒に覗きたい。』というメッセージの元、集められた作品は以下のとおり。 福岡県糸島市在住のユニット「うずまき座」による『空気の観察』(作・演出・出演:手塚夏子・大澤寅雄)。ダンサーの妻と「文化生態観察」を実践する夫で構成された〝異色の夫婦ユニット?が紡ぐ、〝対話?にまつわる作品だ。 「劇団石」による『在日バイタルチェック』(作・演出:きむ きがん)。「在日朝鮮人」と呼ばれる人たちの深い部分に迫る一人芝居。 「horamiriダンス研究所」によるダンス公演『黒の物語』(振付・演出:つかのみき/12月19日・20日/海峡ドラマシップ)子どもを持つ母としての日常を持ったダンサーたちの身体が暖かくもりりしい作品だ。 そして、演劇祭のトリを務めたのは「海峡プロジェクト」のリーディング公演 『Hg-猫の庭』(作・演出:詩森ろば「風琴工房」)だ。「チッソ」(水俣病の加害企業)で実際に行われていたという、〝猫を使った実験?にまつわる作品を、リーディング形式で上演した。 「海峡プロジェクト」とは、地域を超えた作品創りのために集められた集団で、今回は「演劇作業室紅生姜」の山口恭子、野口和夫、「劇団C4」の児島誠、「飛ぶ劇場」の中川裕可里、「青春座」で活躍した江口之章、飯塚の劇団「劇団爆裂感乱写」の仲千恵、フリーの吉田幸弘、テンイチ、渡辺ハンキン浩二など、実に、個性的かつぜいたくなメンツだった。こういった顔合わせが実現するのも「演劇祭」ならではということなのだろう。 方向性も定まり、なおかつ、新たな挑戦も見えるこの三つの演劇祭、今から次の開催が楽しみだ。トルホラミリふうきん「劇団石(トル)」『在日バイタルチェック』「horamiriダンス研究所」『黒の物語』『海峡演劇祭』チラシ