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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

4北九州市小倉北区城内4の1093(571)1505【開館時間】午前9時30分~午後6時(入館は午後5時30分まで)【休館日】月曜日【入館料】一般200円 中高生100円 小学生50円〈年間パスポート〉一般400円 中高生200円 小学生100円Information 北九州ゆかりの作家・林芙美子にちなみ、本市の文学的土壌を全国に発信するとともに、新たな文学の才能を発掘するという目的で平成26年度に創設した林芙美子文学賞は、昨年度で第2回目を迎えました。 今回は、国内外の939人より、975編の応募がありました。第1回に引き続き、全都道府県からの応募があり、最も応募作品数が多かったのは東京都の147編、以下、福岡県142編(内、北九州市68編)、神奈川県73編、大阪府56編、埼玉県53編となっており、この文学賞が、広い関心を集めていることを示しています。また、第2回目の今回、初めて応募した方の割合が全体の約6割を占めているのも大きな特徴です。 応募作品は、3次にわたる事前選考の後、最終候補作品8編に絞り込まれ、1月26日、東京都内で、選考委員の井上荒野さん、角田光代さん、川上未映子さんによる最終選考会が開かれ、全員一致で高山羽根子さんの「太陽の側の島」が大賞作品に選ばれました。(佳作は該当作品なし)。 表彰式は、2月27日、北九州芸術劇場で行われ、北橋健治市長より、高山さんに賞状、表彰盾、副賞目録などが贈られました。高山さんは受賞にあたり、「面白いと言っていただけることが、これほど、自分の人生に差す強い光になるものだと、恥ずかしくもおののくような思いです。私たちのいる場所は、私たちが思っているよりずっとワンダーであるらしいという、どれだけ書いても足りないそのことを、書き続けていきたいと思います」と、喜びと今後の抱負を語っていました。 物語は、とある国の一つの時代、戦時下の町なかに暮らすチヅと、激戦地として知られている南の島に出征をした真平との往復書簡の形で進みます。南の島に伝わる幻想的な伝統行事や民間伝承と、チヅの身の回りに起こる奇妙な出来事が交錯し、二人の間でそれぞれが思い描く真理に辿り着く過程を、細心な筆致で描いています。 この作品に関する選考委員の選評を抜粋して紹介します。 圧倒的だった。文章がとてもよく、夫が暮らす島の描写はガルシア・マルケスを思い出させた。戦争というモチーフを選んだ意味を考えさせながら、メッセージに流れず、小説としての魅力を存分に湛えている。先を読むのが楽しみで、終わってほしくない、この小説世界にずっと浸っていたいと思わされた。          井上委員 過去と未来と、彼の地と此の地が、ぐるりとねじれてつながるような錯覚を抱く。最終候補作のなかで、この小説だけが、読み手の私を驚かせてくれた。小説という枠を生き生きと個性的に超えている。戦争を書きながら、そうは一言も書かず戦争を批判し、人間のありようをある信念を持って書いている。          角田委員 頭一つ以上抜けていた。往復書簡という単調になりがちな構成を巧く使い、主人公が一つの仮説=世界認識を得る過程を、慎重に描く。その仮説=世界認識は、作中の女性と物語自身によって発見され、言葉になったものとして成立している。また、「大きな戦い」の便利さを回避し、この小説が真に目指すべき場所に着地させることに成功している。      川上委員 受賞した高山羽根子さんは、2014年に出版された短編集『うどん キツネつきの』が、第36回日本SF大賞の最終候補作品にノミネートされるなど、既にSF作家としても活動しており、今回の受賞が、今後のさらなる活躍につながることを期待しています。 授賞式後は、選考委員による記念トークも行われ、普段、なかなか聴くことのできない人気作家の本音トークが、約400名の観客を沸かせました。 受賞作品は、3月22日発売(関東地区)の「婦人公論」4月12日号に掲載された他、文学館ホームページにも掲載中です。前列左より、川上さん、高山さん、角田さん、井上さん1月26日、東京都で行われた最終選考会文芸hiroba 在 間 順 一北九州市立文学館 庶務係長Junichi Zaimaようこそ文学館へたか やま は  ね こがわたどうまたたかこ第2回林芙美子文学賞