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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

3 CulCul 2016. September旅 公 演 旅公演が好きだ。もちろん、あくまでも「公演」であって「旅」ではないので、観光は二の次となる。劇場と宿泊場所を往復しただけ、などというパターンも多い。それでも、劇場退館後に、夜の街の雰囲気を味わいながら歩くだけでテンションが上がる。地元の人に紹介してもらった飲食店で、その土地ならではのおいしいものを飲み食いできるオプションが付けばなお良い。なので、多少強行軍であっても、旅公演のオファーには、万障繰り合わせて対応してしまう。 北九州を拠点とする劇団の中でも「飛ぶ劇場」や「ブルーエゴナク」などは、積極的にツアーを行い、さまざまな土地を旅している。私も先日、スタッフとして参加させてもらっている「Tremolo Angelos」の『ホシハチカニオドル』公演で、愛媛県松山市に。また、「特定非営利活動法人子どもとメディア」企画『フォーラムシアター?ミナミ家の場合』の小学校公演のために、山口県周南市へ旅し、大変良い時間を過ごさせていただいた。初めての土地で、初めての観客と過ごす時間は、作品に深みを与えてくれる。 とはいえ、大きな劇場や演劇祭などから〝招聘?されるのでない限り、劇団の「旅」はあまりぜいたくなものにはなり得ない。下手をすると赤字になるのを覚悟しての公演に大きく影響を及ぼすのは、その土地の「受け入れ体制」であろう。劇場のシステムや、知り合いの演劇人の手助けがかなり重要な要素となる。 そのような場所として、北九州で現在きっちり機能している場所の一つが「枝光本町商店街アイアンシアター」だ。 最近の注目の公演としては、京都を拠点に活動している劇団「下鴨車窓」の『渇いた蜃気楼』(作・演出:田辺剛/5月9日)、札幌を中心として活動している劇団「弦巻楽団」の『四月になれば彼女は彼は』(作・演出:弦巻啓太/6月25日・26日)が思い浮かぶ。 「下鴨車窓」は、代表である田辺剛が、2005年に『その赤い点は血だ』で第11回劇作家協会新人戯曲賞を、07年に『旅行者』で第14回OMS戯曲賞佳作を受賞、劇場プロデューサーとしても精力的に活動し、京都の演劇の活性化に貢献してきた。そして「弦巻楽団」の代表弦巻啓太は06年に『死にたいヤツら』で遊戯祭06近松門左衛門祭り最優秀賞、14年に、日本演出者協会主催若手演出家コンクール最優秀賞を受賞するなどこちらも実力派。 田辺剛は福岡市出身、弦巻啓太は札幌の劇場の企画で、「飛ぶ劇場」の泊篤志の戯曲講座を受講して以来交流があるなど、二人とも福岡県に縁のある演劇人。それもツアーの公演地に北九州市を選ぶ一因となったかもしれないが、それにしても、受け入れる良質の〝場所?がなければ、公演は実現しない。「枝光本町商店街アイアンシアター」は、料金や使用時間などが劇団に優しい設定であること、宿泊施設が併設していること、そして何よりも〝外の風?が街にとって良いものであることを知っている劇場であるように感じる。それが良い出会いを招き寄せているのかもしれない。私がツアーでの公演場所を探している市外の劇団だったら魅力的な場所だと思うだろう。 日本全国いろんな場所に〝旅する劇団に優しい街?があることを私は知っている。そして北九州もそういう街であってほしい。それでこそ「演劇の街」なのだろうから。『フォーラムシアター~ミナミ家の場合』公演写真弦巻楽団『四月になれば彼女は彼は』公演写真撮影:チづる(ブルーエゴナク)しもがもしゃそうつるまきがくだんトレモロしょうへいアンゲロス演劇hiroba おおつか えみこ演劇の街は、いま大塚恵美子演劇事務所 代表Emiko Otsuka