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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

6北九州国際漫画祭2016?グローバル化するMANGA?漫画hiroba表  智 之北九州市漫画ミュージアム 専門研究員漫画と北九州Tomoyuki OmoteInformation【会場】北九州市漫画ミュージアム5F企画展示室【開催期間】9月17日(土)~10月23日(日)【開館時館】午前11時~午後7時(入館は午後6時30分まで)【休館日】毎週火曜日【お問合せ】北九州市漫画ミュージアム 093(512)5077 「日本(の)文化」「ヨーロッパ(の)文化」というように、私たちは国や地域、民族や人種で文化を理解しがちです。創られた場所や、創った人の国籍や民族は、重要な属性の一つですが、人も文化も移動し広がるもの。日本人画家が日本の風景を題材に描いた「西洋画」や、日本人シェフが日本産の食材で作った「フランス料理」など、国や民族では割り切れないものもたくさんあります。 日本のマンガが世界で広く読まれ、人気を博していることは、すでにご存じと思います。それは単に、日本人が日本で描いたマンガ作品を諸外国が輸入しているというだけでなく、日本式の技法やスタイルでマンガを描く作家が世界のあちこちで育ち、その作品が国際的に人気を博してもいるのです。端的に言って、日本式のマンガ=「MANGA」はすでに日本(人)の専売特許ではなく、世界の誰もが応用可能な一つのスタイルなのです。 当館では例年、邦訳された海外マンガ作品(=ガイマン)の投票式ランキング「ガイマン賞」を、他のマンガ施設と協力して開催しています。昨年、2015年のグランプリは、スウェーデン出身のマンガ家、オーサ・イェークストロムの『さよならセプテンバー』(クリーク・アンド・リバー社)が受賞しました(図1)。「ガイマン」のほとんどは、北米の「アメリカン・コミック」やフランス・ベルギーの「バンド・デシネ(BD)」など、海外で成立したスタイルの作品なのですが、この作品は日本マンガの技法やスタイルで描かれています。 物語の舞台は、スウェーデンにあるマンガの専門学校。日本スタイルのマンガ家を目指す女子学生アレクサンドラ、愛称「アレックス」(図2)を主人公に、学生寮のルームメイトたちとのコミカルなやり取りを交えつつ、アレックスが抱えている心の傷とその回復を細やかに描いています。キャラクターの造形や画面の構成などビジュアル面だけでなく、若者の内面的な葛藤や成長を主題とする点も含め、表現のスタイルは日本マンガそのもの。しかし同時に、ルームシェアやホームパーティー、自然体でふるまう性的マイノリティーの同級生(図3)など、ヨーロッパならではと感じさせる部分もあります。 普段見慣れた日本マンガのスタイルで描かれた、日本とは違う習慣や考え方の物語。そこには少し違和感があるけれど、丹念に描かれた心の動きには共感でき、主人公の成長に素直に感動できる。違いを違いとして尊重しながら、根っこの部分で通じ合うという、ある意味で理想的な文化交流体験を、日本の読者に与えてくれる作品です。 北九州市漫画ミュージアムではこの秋、「北九州国際漫画祭」と題した複合イベントを行います。『さよならセプテンバー』の複製原画など「ガイマン賞」関連展示をはじめ、韓国やフランスの作家・作品を、展示やトークイベントで紹介するものです。10月10日(月・祝)にはオーサ氏のトークイベントも。グローバル化していくマンガの可能性と、文化交流の楽しさに、ぜひ触れてみてください。図1 オーサ・イェークストロム『さよならセプテンバー』第1巻表紙(クリーク・アンド・リバー社、2015年)図3 同第1巻63ページ 図2 同第1巻8ページ北九州国際漫画祭2016cAsa Ekstrom催事情報を見る