ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

5 CulCul 2016. October 桃山時代から江戸時代にかけて、日本の陶磁器は転機を迎え、大きく開花しました。中でも重要な役割を担ったのが九州陶磁でした。朝鮮半島から渡来した陶工たちは、唐津や有田をはじめ九州各地に窯を開き、優れた陶器を生産する礎を築きました。日本初の磁器生産に成功した有田地域では伊万里焼、鍋島焼など日本独自の美意識を有する磁器が作られました。それらは17世紀にヨーロッパへ輸出され、その魅力は海外にまで広がりました。 「田中丸コレクション」は玉屋百貨店の経営者であった故・田中丸善八(1894?1973年)によって収集された古陶磁のコレクションです。唐津、高取、上野などの陶器、伊万里、柿右衛門、鍋島といった磁器など、バラエティーに富む九州の古窯をほぼ網羅し、各窯の特質を示す優品を体系的にそろえており、九州古陶磁のコレクションとしては国内屈指の質と量を誇ります。これらの作品は戦前から既に、愛好家や研究者の間で高く評価されてきました。 主な作品を紹介しましょう。 《絵唐津木賊文茶碗》(図1)は同コレクションを代表する唐津茶碗です。田中丸コレクションとしては早い時期に収集された作品で、入手後間もなく出品した展覧会で好評を得たことから、善八のコレクターとしての自信につながるきっかけとなった記念碑的作品です。口縁が外側に反り、丸みを帯びた胴の熊川形といわれる形の茶碗です。胴に描かれた縦線は絵唐津(鉄絵で文様を描いた唐津焼)に多く見られる模様で、植物の木賊に見立てて「木賊文」と呼ばれます。 《色絵蕎麦花畑文皿》(図2)は鍋島焼の尺皿(鍋島焼の規格で最も大きな皿)です。鍋島焼は、将軍家をはじめ大名への贈答を目的に作られました。そのため藩の威信にかけて、厳しい管理体制の下、製品の質は精緻を極めました。本作は鍋島焼最盛期のもので、配色はグラデーションをつけた青色を大きく取り、緑と黄、赤を差し色程度に施すことで、上品で落ち着きのある絵柄に仕上げています。 善八は茶室で《絵唐津木賊文茶碗》をはじめ、コレクションの茶碗で茶を立てて振る舞い、自邸での宴席ではコレクションの器に夫人の手料理を盛り付けて客をもてなし、客とともに古陶磁の魅力を楽しみました。実際に使ってこそ器の魅力を引き出せると考えた、善八ならではの愛好のあり方を伝えるエピソードといえるでしょう。 本展は、桃山時代から江戸時代中期までの優品を一堂に展示するもので、北九州市での展示は、実に12年ぶりとなります。九州古陶磁の粋を堪能できる絶好の機会に、ぜひ足をお運びください。九州古陶磁の魅力田中丸コレクション展Information九州古陶磁の魅力 田中丸コレクション展【会場】北九州市立美術館分館(リバーウォーク北九州5F)【会期】10月8日(土)~11月3日(木・祝)※会期中無休【開館時間】午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)【観覧料】一般1000円(800円) 高大生600円(400円) 小中生400円(300円)※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金障害者手帳提示の方は無料年長者施設利用証提示の方は2割減免【お問合せ】093(562)3215図1 《絵唐津木賊文茶碗》17世紀初期 一般財団法人田中丸コレクション蔵(福岡市美術館寄託)  撮影:山崎信一「田中丸コレクション展」ポスター図2 《鍋島 色絵蕎麦花畑文皿》17世紀末~18世紀初頭 一般財団法人田中丸コレクション蔵  撮影:山崎信一美術hiroba 重 松 知 美美術館へ行こう!北九州市立美術館 学芸員Tomomi Shigematsuあがのえがらつとくさもんちゃわんこもこうえんがいなりいろえそばはなばたけもんざら【日時】10月15日(土)、同29日(土)ともに午後2時~ 各回30分程度【講師】久保山炎(一般財団法人田中丸コレクション学芸員)※事前申込み不要観覧料が必要ですEvent〈ギャラリートーク〉