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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

6北九州国際漫画祭2016?文化交流のダイナミズム?漫画hiroba表  智 之北九州市漫画ミュージアム 専門研究員漫画と北九州Tomoyuki Omote 現在開催中の「北九州国際漫画祭2016」は、その名の通り、海外のマンガ作品の紹介が主軸です。今回は、国で言うと、韓国、フランス、そしてスウェーデンの作家・作品を、デジタルプリントや複製原画で展示しています。またそれぞれ、トークイベントも予定しています。 マンガに限らず、文化の国際比較を試みたとき、興味を引くポイントとして「共通性」と「差異」があります。「コマ」を連続させて物語を描くという、現在のストーリーマンガの基礎を築いたのは、スイスのロドルフ・テプフェール(1799?1846)といわれており、そこから徐々に世界中に広がっていきました。日本においては、大正時代に英米の新聞マンガから影響を受けることで、ストーリーマンガが定着していきます。 コマを連続させて物語を描くこと自体は世界共通なのですが、コマをどのように組み合わせていくのか(=コマ割り)は、国や地域によってスタイルが異なります。日本のコマ割りは世界的に見て複雑な部類に属し、大小さまざまなコマを組み合わせることで、見せ場を臨場感たっぷりに描けますし、時間の流れを早くしたり遅くしたりもできるのです。1960年代から70年代にかけて開発されたテクニックが、スタイルとして定着していきました。 韓国のマンガも、60年代ごろから日本のマンガを輸入し翻訳して読んでいたことから、日本マンガの影響を強く受けていたのですが、97年に起きた経済危機を原因として、コマ割りを劇的に変化させました。経済危機により急速に縮小した出版市場の代わりに、インターネットでマンガを発表するようになったのです。雑誌のページをめくる代わりに、パソコンの画面を下にスクロールさせて読むため、韓国マンガはコマを縦につなげて描くスタイルになっていきました(図1)。これを「ウェブトゥーン」と言います。 一方、フランスやベルギー、スイスなどで描かれる「バンド・デシネ(BD)」は、日本マンガと比べるとコマ割りが単調で、均等の大きさのコマが横に並んでいることがほとんどです。ただし、コマに描かれた絵の一枚一枚は、細密な描き込みや複雑玄妙な色彩など、絵画としての完成度が高いと言えます。 しかし、90年代後半に欧米で日本マンガのブームが起き、前号で紹介したオーサ・イェークストロムのように、日本スタイルでマンガを描く欧米の作家も現れます。今回展示する『ラストマン』(図2)は、人気BD作家のバスティアン・ヴィヴェスが、バラックやミカエル・サンラヴィルと3人チームを組んで、日本マンガの手法を取り入れて描いた作品です。背景をあまり描き込まず、人物のアップが中心で、複雑なコマ割りで臨場感とスピード感を出しているのです(図3)。 マンガという共通の基盤の上で、互いに影響を与え合いながら、変化し続けていく。そんな文化交流のダイナミズムをぜひ感じ取ってください。作家のトークイベントなど詳しい情報は、ホームページでご確認ください。図1 キム・テホン『漂流少女』 cKIM TAEHYEON図2(右) 図3(左) バラック+ヴィヴェス+サンラヴィル『ラストマン』cCastermanInformation【会場】北九州市漫画ミュージアム5F企画展示室【開催期間】9月17日(土)~10月23日(日)【開館時館】午前11時~午後7時(入館は午後6時30分まで)【休館日】毎週火曜日【観覧料】無料【お問合せ】北九州市漫画ミュージアム 093(512)5077北九州国際漫画祭2016