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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

7 CulCul 2016.November埋蔵財化文hiroba遺跡からのメッセージ(公財)北九州市芸術文化振興財団埋蔵文化財調査室 学芸員Yuko Yamaguchi 北九州市立埋蔵文化財センターでは埋蔵文化財速報展『川のそばで暮らした人々―三郎丸遺跡第4地点の調査から―』を開催しております(10月11日?11月14日は休館中)。埋蔵文化財センターでは広く市民の皆さまに北九州市内の遺跡について知っていただきたく、毎年、前年度に発掘した最新の調査成果を速報展として展示しています。今回は展示中の三郎丸遺跡についてご紹介したいと思います。 遺跡は小倉北区城野団地(JR城野駅の北側)に所在し、2015年4月22日?7月17日の約3カ月間で調査を行いました。調査面積は3400平方メートルです。 今回の調査では古代の川の跡が確認されました。川底に堆積した土砂の中からはコンテナ300箱以上の遺物が出土し、当時の人々の生活用品が川の中に大量に流れ込んでいた状況が確認されました。 皆さまが遺跡の調査で期待する成果はどういったものでしょうか? 立派な建物の痕跡? または珍しい高級品が出土することでしょうか? 川の跡が確認されたといってもなかなかピンとこないかもしれません。 私たち、遺跡の調査に携わるものとしては当然のことなのですが、遺跡の中で確認された遺構がどのように埋まったのか、その中にどういった遺物が含まれているのか、またその遺物はどういう状態で出土したのかといったことを確認しながら、発掘調査を進めていきます。今回見つかった川の跡は、砂の層が堆積している上に灰色の粘土の層が堆積していました。砂や砂利は、川や水路などの水の流れが発生する所にまとまって堆積することが多く、今回もこの層を確認したことで、自然の川の跡であることが明らかになりました。また、水の流れはほとんどないものの、常に水が溜まっているような低湿地では、灰色や青色などの粘土が堆積しています。砂の層の上に堆積した粘土層は、このような状態のときに形成されたと思われます。つまり、川は徐々に砂の層で埋まっていき、水の流れが無くなって、水が溜まりやすい場所として残っていたということになります。 今回、砂の層の中から見つかった大量の遺物は、大きな流木や割れた石の塊などと一緒に出土しています。また、出土した遺物はほとんどが割れていますが、表面は当時の状態を良く残しており、あまりローリング(河原石のように川の流れの中で磨り減り、角が取れていくこと)を受けていません。これらのことは洪水のような災害がこの川で起こり、その際に近くにあった集落を巻き込み、生活用品である土器などが砂の層と一緒に堆積する結果となったことを示唆しています。この砂の層の中にあった遺物は8世紀後半?11世紀代(平安時代)のもので、このころに何度か氾濫し、次第に埋まっていったと考えられます。 また、出土した遺物の中には墨で字が書かれた墨書土器や当時高級品であった緑釉陶器、また瓦など一般の集落ではあまり【このコーナーの次回掲載予定は1月号です】川が語る三郎丸遺跡〈埋蔵文化財の展示案内〉北九州市を掘る(84) 埋蔵文化財速報展『川のそばで暮らした人々―三郎丸遺跡第4地点の調査から―』古代の川の跡や集落などから出土した墨書土器や緑釉陶器、黒色土器など約30点を展示。常設展もあり【開催期間】12月18日(日)まで。 ※10月11日(火)~11月14日(月)は展示入れ替えのため休館中【開館時間】午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)※毎週月曜日(休日の場合はその翌日)、年末年始は休館【入館料】無料・北九州市立埋蔵文化財センター(小倉北区金田1の1の3 093(582)0941)・黒崎歴史ふれあい館(八幡西区黒崎3の15の3黒崎駅横コムシティ1F)常設展開催中常設展『城下町から宿場町へ~出土品が語る黒崎の歴史と文化~』『 シュガーロード・発掘物語』【開館時間】午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)※年中無休【入館料】無料出土しない遺物が含まれています。これらは公的な施設やそれに関連した建物が周辺に存在したことを示しており、そこに暮らす人々も災害に巻き込まれたのかもしれません。 このように古代の川の跡はそこにあったというだけでなく、周辺の環境や人々の風景を感じさせる多くの情報を現代の私たちに提示してくれているのです。川の跡から出土した墨書土器、「廣」と読めます古代の川の跡からたくさんの土器が出土しました山 口 裕 子ぼくしょりょくゆう とう き