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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

3 CulCul 2016. DecemberHOTSKY『ときのものさし』チラシ生命誌研究館『生命誌版・セロ弾きのゴーシュ』公演写真繋げる・繋がるつ な演劇hiroba おおつか えみこ演劇の街は、いま大塚恵美子演劇事務所 代表Emiko Otsuka 今年も「海峡演劇祭」開催のお知らせが届いた。毎年、秋から冬にかけて、門司港の「海峡ドラマシップ」1階にある多目的ホールを中心に行われる小さな演劇祭である。2010年に始まって今年で7回目。 この原稿を書いている時点で決定しているのは、12月3日に予定されている、石牟礼道子原作の『あやとりの記』の朗読を皮切りにして、▽福岡市を拠点にして活動をしている「無倣舎」の『12月8日を劇にする』▽「生命誌研究館」の『生命誌版・セロ弾きのゴーシュ』の記録映像と、北九州市を拠点にしてユニークな人形劇を上演している谷口直子の『よだか』のジョイント上演▽大阪在住のパフォーマー「よっちゃん」による『闇の中、輝く命?統合失調Show♪♪♪?』などを上演予定。 今後、細かい変更がある可能性もあるので、詳細は海峡演劇祭のホームページ(http://t-etc.net/kaikyo_engekisai.htm)でご確認いただきたい。 演劇祭本編に先駆けて、11月に「海峡演劇祭2016 プレイベント」として、東京の劇団HOTSKYが『ときのものさし』(作・演出:釘本光/11月4日?6日/旧大連航路上屋2Fイベントホール)を上演した。海辺に立つ介護施設を舞台にした優しい作品。 作・演出の釘本光は北九州出身。北九州の演劇界でも人気のあった女優さんだ。こうして、彼女の作品を北九州で見ることができるうれしさを感じられた公演でもあった。 海峡演劇祭は、単なる作品上演の場としてだけでなく、人と人は、場所と場所を「繋ぐ」という意識を高く持って開催されているように感じる。実際、この演劇祭をきっかけにして交流を深めているアーティストも少なからずいると聞く。今回もさまざまなものが繋がれていくことだろう。新しい発見があることを期待している。 さて、北九州から活動の拠点を東京に移して久しい「うずめ劇場」からも、公演のお知らせが届いた。 第28回公演は、劇団創立20周年記念公演となるそうだ。演目は、シェイクスピアの『アントニーとクレオパトラ』(演出:ペーター・ゲスナー/10月25日?30日 / 両国シアターⅩ)。〝「異邦人演出家」ペーター・ゲスナーが満を持して贈る!世界が裏返る、誰も見たことがない「アントニーとクレオパトラ」?というキャッチコピーが、劇団の意気込みを感じさせる。 劇団の公式ホームページからは、作品のストーリー解説と、20周年にあたっての文章が掲載された「うずめ劇場ガイドブック」がダウンロードできるようになっている。その冒頭には、「うずめ劇場を生んでくれた、北九州のあたたかさへ。感謝をこめて。」という文言が掲載されている。また、後半には、ペーターによる、北九州の演劇人たちへの謝辞がつづられており、彼がまだ北九州と「繋がっている」ことを感じさせる文章となっている。 今更のようだが、演劇は「繋げる」「繋がる」という行為と密接な関係を持っている。同じ舞台に立つ役者同士。劇場の中で同じ体験を共有する観客同士。客席と舞台。作品と社会。自己と他者。日常と非日常。人と人の関係性が薄くなってきたと嘆かれることも多い昨今、演劇は「繋がり」の最後の砦ではないかとさえ思う。少なくとも、私はそれを大事にしていきたい。カイとりでいしむれ みちこ