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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

5 CulCul 2017. March 昨年、全国各地で芸術祭やアートイベントが相次いだことが話題を呼びました。「あいちトリエンナーレ」や「瀬戸内国際芸術祭」などおなじみのもの、「茨城県北芸術祭」「さいたまトリエンナーレ」といった初開催のもの、そして福岡県内でも「糸島芸農」が開かれました。今やアートを体験する場は美術館やギャラリーといった従来のスペースから、街のあらゆる場所に拡大しており、作品も地域住民が関わる双方向的な性格を強めています。 そうした傾向の中、美術館はどのような活動をしているのでしょうか。美術館というと、展覧会や講演会など館内での活動が思い浮かびますが、学校や職場、街中の公共空間など、館外でワークショップを開催したり、鑑賞について学んだりするアウトリーチ活動が盛んになってきています。北九州市立美術館でも、昨年度から「アウトリーチ事業」として館外活動を始めました。2年目となる今回は、群馬県前橋市を拠点とするアーティスト中島佑太さんを招き、「《ぬいかけの植物園》けいかくしつ」というアートプロジェクトをスタートします。 中島さんの活動は、絵画や彫刻といったかたちのある「作品」を制作するというよりも、ワークショップを通じて、参加者と一緒にさまざまな社会問題について考える手法を特徴としています。彼の代表的なワークショップ《あっちがわとこっちがわをつくる》は、たとえば朝食は「ごはん派」「パン派」など、身近なテーマで参加者を二つのグループに分け、お互いの間にバリケードをつくるものです。普段は同じクラスの友だちでも、ささいな基準で分けられた両者は次第に対立していくことも少なくないようです。何か決まった作品をみんなで制作するのとは違い、答えやゴールがあるものではありませんが、他者とのコミュニケーションという問題について考えさせてくれるワークショップです。 そんな中島さんが今回北九州で挑戦するのは、会場となるリバーウォーク北九州のエナジーコートに、参加者全員で「植物園」をつくるというプロジェクトです。「植物園」といっても本物の植物を持って来るわけではありません。皆さんが思い浮かべる植物園には、どんな植物、どんな部屋があるでしょうか。想像を広げて植物のイメージを描いたり、刺繍していったりしながら、一つの公共スペースと言える植物園をつくります。その中で、きっと参加者同士や観ている人たちとの間にさまざまな交流や、もしかしたら衝突が生まれるかもしれません。ですが、複数人が一緒に一つの空間をつくるために合意形成していくことの難しさは、現実社会にも通じる貴重な体験となるでしょう。 さらにもう一つ、中島さんと美術館が持っている狙いがあります。それは、こうしたワークショップを今回だけのイベントに終らせず、複数年にわたる継続的なプロジェクトにしていくことで、地域の方々がアートに積極的に参加したり、自主的にプロジェクトを起ち上げたりできる基盤をつくっていきたいというものです。このプロジェクトが続いていく中で、企画や運営に携わっていただける方たちの輪が広がり、地域社会にアートが根付いていくことを期待しています。今回のワークショップは申込不要ですので、参加はもちろん、ぜひ見学に来てください。美術hiroba 小 松  健 一 郎美術館へ行こう!北九州市立美術館 学芸員Kenichiro KomatsuInformation北九州市立美術館アウトリーチ事業《ぬいかけの植物園》けいかくしつ【会場】リバーウォーク北九州 エナジーコート【日時】植物園にとりかかる①3月18日(土)午後1時~同4時植物園をぬいかける②3月19日(日) ③3月20日(月・祝)各日午後1時~同4時※参加無料 ※申込不要【お問合せ】093(882)7777北九州市立美術館アウトリーチ事業《ぬいかけの植物園》けいかくしつししゅうみ中島佑太さんによるワークショップの風景