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概要

北九州市芸術文化情報誌「CulCul」・ 「かるかる」  発行/北九州市、(公財)北九州市芸術文化振興財団 出版事業課

3 CulCul 2017. April「ト書き」を考える『ぶらり♪まちなか劇さんぽ』参加「劇団C4」『相楽姉妹の憂鬱』チラシ『ぶらり♪まちなか劇さんぽ』参加「舞台集団コンビニ」『ホシカラ』チラシ演劇hiroba おおつか えみこ演劇の街は、いま大塚恵美子演劇事務所 代表Emiko Otsuka 今年も「北九州劇団代表者会議」主催の『ぶらり♪まちなか劇さんぽ』が開催された。『北九州芸術工業地帯』(主催:公益財団法人北九州市芸術文化振興財団/企画・制作:北九州芸術劇場)の関連企画として行われ、2月4日?3月11日の開催期間中に、「サヨナランドリー」「紫川天国一座」「舞台集団コンビニ」「ブルーエゴナク」「劇団C4」「飛ぶ劇場」「演劇関係いすと校舎」など七つの劇団が公演を行った。 独自のカラーを色濃く打ち出した劇団や、せっかく特別な企画だからと、普段のものとは違った作風で臨んだ劇団など、バラエティーに富んだ内容。特に、照明や音響がしっかり使えるわけではない空間での公演であるためか「リーディング」やそれに準じる手法で展開される作品も多く、その分「戯曲」の面白さを感じさせてくれる作品が多かったように思う。 「戯曲の面白さ」といえば、2月5日、枝光本町商店街アイアンシアターで行われた、劇作家協会九州支部主催の『月いちリーディングin北九州』で面白いトピックスを見つけた。それは「ト書き」である。 作品リーディング後の、ブラッシュアップを目的としたディスカッションで、「ト書き」をどう書くか、劇作家の中でもさまざまなタイプがあることが話題に上ったのだ。 「ト書き」とは、戯曲の中に書き込まれた、セリフ以外の動作や状況を表した文章のことである。もともと、歌舞伎で、登場人物が「〝と?言いながら歩み寄る」などと、動作に関することを記したものに由来するといわれている。 一人の人間が、戯曲を書き、演出することを前提として作品を書く際は、比較的「ト書き」はシンプルになる傾向にあるようだ。しかし、戯曲賞などに応募しようと思ったら、そのタイプの戯曲は、審査員から、もっと「ト書き」を書くようにアドバイスを受けるケースが結構多いという。もちろん、自分が演出をする場合でも、かなり詳細に「ト書き」を書き込む劇作家も居る。その場合、その「ト書き」は誰に対して書かれるのか。 また、「ト書き」には二つのタイプがある。(以下の表記は一例。映画や映像のシナリオにはかなり精密なフォーマットがあるようだが、戯曲にはそこまでかっちりしたものはない)というように、文章と文章の間に〝文?として書かれるものと、セリフの前や後に〝かっこ?付きで表記されるものだ。これをどう書き分けるのか。 劇作家と演出家が別々である場合、「ト書き」は、時には劇作家から演出家へのメッセージとなる場合もある。当然演出家は「ト書き」を無視することもできるのだが、そこに微妙なパワーバランスが存在すると、いささか劇的な駆け引きが両者の間に生まれることになる。先日、島田雅彦の戯曲『ルナ?輪廻転生の物語』を読み返す機会があったが、その巻末についている蜷川幸雄の『演出ノート』から、作家と演出家の関係が透けて見えて非常に面白かった。蜷川ならずとも、とある大物演出家が、「ト書き」に「Aは○○だ」ではなく「Aは○○のようにも見える」と書いてある戯曲を絶賛したという〝伝説?を聞いたこともある。確かに、後者の方が、劇作家が自らの物語を立体化する際の詳細を演出家に委ねた感がある。 単なる段取りを記しただけではなさそうな、奥の深い「ト書き」。舞台を見る際に、「このシーンにはどんな「ト書き」が書かれていたのだろう」などと想像してみるのも一興かもしれない。りんねと が花子太郎こんにちは 太郎、立ち止まる。(驚いて)こんにちは