旧門司駅舎跡2区
所在地 :北九州市門司区清滝二丁目
調査時期:令和6年8月19日~11月13日
調査面積:770㎡
調査の内容
2区は、1区をL字状に取り囲む位置に設定され、石垣、煉瓦遺構、布基礎状遺構、基礎、コンクリート枡、コンクリート柱(電柱)、井戸、土管、鉄管、井戸、埋甕、溝状遺構、土坑など、多くの遺構を確認した。これらのうち、石垣、煉瓦遺構、布基礎状遺構は建物を構成するもので、今回の調査区では4棟の建物を検出している。
3号建物は2−1・2−2・5号煉瓦遺構、3・7・9号布基礎状遺構で構成される建物である。2−1号煉瓦遺構は幅二枚分の煉瓦が4段残っている。基本的にはイギリス積みだと考えられるが、長手方向に積まれた最下段の角付近には小口積みが部分的に使われており、変則的である。また、2−2号煉瓦遺構は、2−1号に囲われた内側に位置しており、南北両端部を欠損する。2−2号→2−1号の先後関係が想定され、建て替えが行われたと考えられる。この二つの煉瓦遺構はコンクリートの礎盤の上に積み上げられており、その下位には布基礎状遺構が位置する。また、3号布基礎状遺構は掘方が二列に分かれており、建て替え時にわずかに南側へずらして掘り直されたと考えられる。また、建て替え前は割栗石を主体としたが、建て替え後にはこれに加えて解体時に出た廃材と思われるコンクリートや煉瓦塊が多く含まれている。なお、2−2号煉瓦遺構は明治期の平面方形建物(名称不明)、2−1号は大正期の油倉庫に相当する。
6号建物は1・4・9号煉瓦遺構からなり、明治〜大正期の貨物(荷物)上屋に相当する。1・4号は直線上にあり、元は同一列をなすものである。遺構は全て幅二枚半で、1号は煉瓦が5段残存しており、南面は階段状を呈する。また、煉瓦の下にはコンクリートの礎盤があり、その上に煉瓦が築かれている。コンクリートは型枠を使わず、地面を溝状に掘り込んだ布掘りに直接打設されるが、部分的にコンクリートの下に玉砂利が見られる箇所もある。なお、6号建物の南〜西側には1・4・8号布基礎状遺構、4号石垣があり、この建物に付属するプラットホームの擁壁に相当する遺構である。
また、3号石垣は1区でも検出されており、その延長部分を確認した。2号石垣の下位にあり、西側でL字状に屈曲する。花崗岩の間知石で、西側では2段確認されたが、積み方が1段目と異なり、不整合なため、後の積み直しだと考えられる。裏込めの栗石もほとんど確認できないため、元々1〜2段程度の高さしかなかったと想定される。明治期の駅本屋の敷地を囲う外郭の一部と考えられる。
3号建物、6号煉瓦遺構検出状況(北から)
6号建物、2・4号布基礎状遺構、4号石垣検出状況(空中写真、上が北西)
3号石垣検出状況(西から)
主な遺構
近代 |
石垣、煉瓦遺構、布基礎状遺構、基礎、コンクリート枡、コンクリート柱(電柱)、井戸、土管、鉄管、井戸、埋甕、溝状遺構、土坑など |
主な遺物
近代 | 近代の陶磁器、ガラス製品、金属製品、銭貨、瓦、煉瓦、土管、枕木など |
コンテナ | 271箱 |