屋敷遺跡第2地点2区の一部、3区、 若宮八幡神社裏遺跡2区、3区、4区

所在地 :北九州市小倉南区長野本町二丁目 他
調査時期:令和3年6月2日~10月29日
調査面積: 6,300㎡

 

調査の内容

 本遺跡は貫山から北に延びる丘陵裾部と隣接する沖積平野に位置する。調査区の西側には長野川が北流する。
 屋敷遺跡第2地点2区は、調査区西側に隣接する丘陵裾部を巡る自然流路とその埋没後に形成された矢板列群・杭列群を検出した。自然流路は、大量の粗砂と流木を含む洪水堆積層によって埋没しており、粗砂層からは、大量の縄文時代晩期から弥生時代前期の土器・石器が出土した。この洪水層の上部には暗青色粘質土が堆積しており、この面に矢板列や杭列群が打ち込まれていた。暗青色粘質土からは、弥生時代前期の土器が出土しており、洪水による自然流路の埋没後、湿地状を呈した部分を利用して矢板列や杭列群が形成されたものと考えられる。  
 3区は2区の南側にあり、2区で確認された暗青灰色粘質土層の上面に複数の溝状遺構が形成されている。これらには遺物がほとんど含まれていない。また、丘陵に近い北側ではピットが数多く確認されているが、これらからも遺物はほとんど出土していない。
 若宮八幡神社裏遺跡では若宮八幡神社の南側、東側、北側に2〜4区を設定した。屋敷遺跡と同様に自然流路の堆積層があり、この上面に古墳時代〜古代の溝状遺構が確認された。この溝状遺構は2区と3区で確認され、若宮八幡神社が位置する低丘陵を取り囲むように配置されていると考えられる。なお、この溝状遺構からは須恵器の器台や土師器埦、木製扉、滑石製有孔円板など、多くの遺物が出土している。また、3区の南端部では南西から北東方向に延びる自然流路と思われる溝状遺構が確認され、この内部から細めの丸太材を使って作られた木組み遺構が確認された。また、付近からは案や鳥形木製品などの木製品が出土している。


 

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屋敷遺跡、若宮八幡神社裏遺跡遠景(南から)


 

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屋敷遺跡第2地点で確認された矢板列2(南東から)


 

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若宮八幡神社裏遺跡2号溝状遺構から出土した土師器(東から)


 

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若宮八幡神社裏遺跡4号溝状遺構で確認された木組み遺構(西から)


 

主な遺構

 縄文時代〜古代  自然流路、矢板杭列、溝状遺構、土坑、柱穴など

主な遺物

 縄文時代〜古代  縄文土器、弥生土器、古墳時代〜古代土師器、須恵器、石器、矢板杭、木製品など
 コンテナ  1055箱

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